集中力を武器に捕手を務め、チームをまとめ上げる菰田さん
 

 「捕手をやる気はなかった」。軟式野球を始めた中学当時のポジションは三塁手。高校時代の途中にチーム事情からやむを得ず捕手に転向した。捕手転向後、若干4年にして日台大学軟式野球親善大会の代表に選抜されるほどの大学軟式野球界を代表する捕手に成長した。

 「いつもどおりの自分を心がけた」。代表になるための特別な努力はしてこなかったという。セレクションでは普段の練習から培った実力を発揮して自分をアピールした。

  望んだポジションではない捕手を淡々とこなす菰田さん。彼が捕手として活躍している一要因に集中力の高さがある。高校時代の監督によるメンタルの訓練がそれを助長したという。例えば動かない物体を5―10秒、頭の中を無にして見つめる「フォーカルポイント」。これは現在でも非常に生かされているそうだ。

 彼が捕手として大事にしていることは大きく二つある。一つ目は、練習中に気になることは、ささいなことでも忌憚(きたん)なく言うこと。捕手はただ一人、他の選手と異なる方向を向いているため、視野が広く、他の野手の動きを見られるからだ。

 二つ目に、部員とできるだけコミュニケーションをとること。チームプレーが肝要となるため、練習中のみならず休憩中など普段からコミュニケーションをまめにとり、部員一人ひとりの性格を把握するように心がけているという。

  彼が野球をする際に心にとめていること、それは中学時代の恩師の言葉「何かのために野球をする」だ。必ず目標に向かって練習、プレーをする。菰田さんは目標を一つにするのでなく、先に控える大会を主な目標として躍進しているという。

 自分の能力とともに守備の要として、チームプレーの向上にも全力を尽くす菰田さん。今後も素質ある彼に期待したい。
      (下池莉絵)