大きな視野の必要性を述べる松浦氏
大きな視野の必要性を述べる松浦氏

今月1日、ユネスコ前事務局長・松浦晃一郎氏による特別講演会「国際人のすすめ」が三田キャンパス北館ホールにて行われた。

松浦氏は先日世界人口が70億人を越えたことについてふれ、今後のさらなる人口増加について危惧。「資源消費の増大、地球温暖化などマイナス成長が著しい昨今において、地球が抱える問題は想像以上に多岐にわたる。地球サミットで議論はされたが、近い将来ではさらに大きな視野で諸問題の解決策を練り、押し進めていく力が必要」と語った。

日本が国際的な地位を保つことについては、「日本人が個人でしっかりと教養をつけ、国際的な視点を持つことが不可欠」と述べ、グローバルな視点を持つポイントを3つあげた。

1つ目は歴史・文化に関する教養を身につけること。過去を知ることで新しい文化を切り開くことが重要だとし、具体的には世界遺産の重要性に触れ、日本人の文化的教養の低迷を懸念した。

2つ目は自分の国について知ること。松浦氏は現在の国情を理解することの重要性を語った上で、「多様な問題について議論していくことが必要不可欠であり、そのために自国の知識を十分に持つことが大事」と強調した。

3つ目は英会話能力を伸ばすこと。松浦氏は日本人の英会話能力の低さについて触れ、学生に英語で議論する力が求められると話した。そのため、国をあげた語学能力向上の必要性を強調し、「持続可能な発展のための教育が必要である」と警鐘を鳴らした。

松浦氏は1959年東京大法学部中退後、外務省に入省。1999年、アジア人初のユネスコ事務局長に就任。