大学生が考える現代の救世主 「イクメン」

大学生でありながら父親でもある西村さん
大学生でありながら父親でもある西村さん
 
2010年を代表する流行語のひとつ「イクメン」。
 「イクメン」とは「育児を積極的に楽しむ男性」のこと。育児は女性が担当するものといった固定概念から、男女共に仕事も家庭もといった時代の変化を反映した新語であろう。
ワークライフバランスが当たり前のように謳われているが、日本は先進国の中でも育児制度において最低クラスであるといわれる。そんな現状問題を解決するキーワードが「イクメン」。
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 就職活動が一種のブームと化している中、我々学生は自身の今後のキャリアを考える機会は多い。しかし、多くの人がキャリアと両立させるであろう家庭について考える機会は極めて少ない。
父親であることを楽しむ生き方(=Fathering)について考えているNPO法人Fathering Japan(FJ)の学生組織であるFathering Japan Students’(FJS)。ここでは現役のパパと未来のパパである学生の架け橋となり、親になることを考える機会を作り、提供している。
様々な角度から育児について学ぶ講座の開催や、実際にイクメン家庭で育児体験をしたりと、未来のイクメンを目指した活動を展開。活動資金は、現役イクメンであるFJが、未来への投資として負担している。
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 FJSの代表を務めるのは西村創一朗さん(首都大学東京4年)。現役学生でありながら、現役イクメンでもある。
 今から3年前、高校時代から交際していた女性の妊娠が発覚し、勉学と育児の両立を目指すことに。しかし、「学生パパ」という肩書きを重苦しく感じ、父親であることを楽しむことができていなかった。
 新聞で目にしたFJとの出会いが西村さんの生活を変えた。現役パパたちから刺激を受け、自身の子育ても勉強やアルバイト、就職活動の原動力となっていったという。
 「子育ては思うようにはいきません。予想外のトラブルの連続です」と話す西村さん。「でも、奥さん一人に任せるべきではない。大変さも夫婦で分かち合って、苦しさを半分にしなくては」
 一方で「子どもの『初めて』に立ち会えた瞬間は嬉しいです。奥さんと子どもについて話している時間も楽しい。楽しさも夫婦で2倍です」
 卒業後、働くことと家庭の両輪で進んでいく西村さん。夢は「日本の働き方を変えること」。「大学生にも働く意味について考えてもらいたい」と語る。
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 女性への一極集中による育児ノイローゼ、そして高い離婚率と自殺率。いまや当たり前となってしまった暗い現状。こんな時代の救世主こそ、未来のイクメンなのかもしれない。
 働くことと同時に親になることを考え、なりたい自分を見つけてみるのもいいかもしれない。
(入澤綾子)



【編集後記】
 成澤廣修文京区長が首長初の育休を取得、タレントのつるの剛士さんが2カ月の育休を取得するなど、イクメンがメディアを賑わせブームとなった。
しかし、厚生労働省が昨年7月に発表した「平成21年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業(以下、育休)取得率が1・72%。過去最高の取得率といえども、あまりにも低い数字となっている。
「イクメン」がただの流行でなく、常態となる日はいつ来るだろうか。