「より活用しやすい環境づくりを」

過去に慶應で起こったビッグニュースの今を伝えるこの企画。第3回は、「経済学部 東工大と単位互換協定締結」(2008年)を取り上げる。
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 単位互換制度とは、慶大経済学部と東工大工学部間に結ばれた協定。経済学部生は東工大工学部に設置された200以上の授業を履修することができ、最大30単位まで卒業必要単位として認められる。東工大の授業は経済学部2年から4年の学生のみ履修することができる。
 単位互換はもともと文理融合型の幅広い教育を提供する、という目的のもと慶大の大学院のみで行われていた。それを学部レベルまで引き下げたのがこの単位互換協定である。
 2010年には協定書の改訂があり、慶大と東工大の間で他学部、他研究科でも色々なことが出来やすくなったという。既に理工学研究科では研究の委託が始まっている。この協定により、慶大の大学院で学生が「東工大の先生の下で研究したい」と言ったときに送り出すことが可能になった。
 単位互換という制度自体は他大学でも広く行われており、複数大学と協定を結んでいる所も多い。慶大の今後について聞くと、国際化に視点を向けており今のところほかの大学と単位互換をしていく予定は無いという。慶大は総合大学であり、他学部の授業を受けることに関しては比較的どの学部も履修を許可しているので受けることができる。学部レベルであれば日本語での授業はだいたい提供できているのではないか、というのが慶大の見解だ。
 現在どれだけの学生が東工大へと通っているのか。単位互換が開始された2008年の前期に慶大から東工大へ行った学生の数は24人。だが、今年度の前期は6人、後期は4人と段々減少してきている。この現状に対し、慶大側はもう少しお互いの学生が履修しやすい環境を作るなど、何らかの対策を考えなければならないとしている。
 互いのキャンパスの遠さ、学内での単位互換制度の認知度の低さ、そして履修申告が通常とは異なり若干手間がかかるなどいくつか問題を抱えているのも現状だ。
 今回取材を担当していただいた職員の方は、「今やっている運用を見直す時期にきているかもしれない。(東工大との協定を)より活用しやすいものにしていく必要がある」と話してくれた。
 慶大経済学部としては、理系に興味のある学生に機会を与えたい、専門だけに閉じこもるのではなくお互いのカリキュラムに関心がある学生が居るなら機会を提供していくべき、という思いがある。理系の授業にも興味がある経済学部生は、来年度制度の利用を検討してみてはいかがだろうか。
      (大竹純平)



今回取材で訪れた東工大大岡山キャンパス。新図書館を現在建設中なのだが、そこの看板に書かれている言葉(つぶやき)がなかなか面白い。筆者が行ったときに見たつぶやきで印象的なものをいくつか紹介する。
「年齢∝時間。価値=f(時間)、fは、キミだ。」
意味が理解できないのは文系クオリティ。でも、なんだか理系っぽくてかっこいい。
「すずかけのことも忘れないで。」
かなり切実ですね。
「小説と、恋愛と、論文は、終わらせ方が難しい。」
本当にその通り。記事の終わらせ方もけっこう難しいです。

東工大のキャンパスは広々としていてとても綺麗。
慶大からなら比較的近いし、一度遊びに行ってみてはいかがだろうか。