川沿いにそびえるリバーサイドキャンパス
川沿いにそびえるリバーサイドキャンパス
過去に慶應で起こったビッグニュースの今を伝えるこの企画。第2回は、「慶應大阪リバーサイドキャンパス開設」(2008年)を取り上げる。
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 慶應大阪リバーサイドキャンパス(以下KORC)とは、2008年5月に大阪市の福島区に開設されたキャンパスである。14階建て施設の3階部分を借りている。キャンパスには大きさの異なる2つの教室(うち一つは2室に分割可能)と事務室、大学院メディアデザイン研究科が使用している共同研究室がある。また同じ階には大阪芸術大学のサテライトキャンパスが入っている。
 なぜ慶應は大阪にキャンパスを作ったのか。これにはいくつか理由があるが、最も大きい理由は大阪が福澤諭吉の生誕の地であり、福澤の学問の礎を築いた適塾が大阪にあったということだろう。実際KORCの目と鼻の先に「福澤諭吉誕生地記念碑」は建っている。
 現在KORCがある場所には元々大阪大学の校舎と病院があったのだが、それらが移転し、跡地一帯の再開発がされることとなった。
福澤諭吉生誕記念碑がその再開発地域にあったことと、再開発の一環として大阪市が教育・研究施設の誘致を検討していたこともあり、市の協力を受けながらKORCの開設に至った。
 KORCはどんな役割を持ち、何が行われてきたのか。そこには教育の場という面と、関西における慶應義塾の拠点という2つの面がある。
 教育の場として、福澤諭吉をテーマに取り上げた福澤研究センターの講座や、法科大学院の専任教授が教える「法学入門講座」、薬学部専任教員による「薬学部公開講座」、慶應丸の内シティキャンパスと連携した「夕学講座」などの公開講座を開講している。 また通信教育課程生向けの科目試験や、従来は三田・日吉キャンパスでしか受けることのできなかったスクーリングを実施するようになり、通信生の利便性を高めている。
 拠点という面では、サテライトオフィスとして、NY学院、大学、大学院の学校説明会が行われるほか、関西経済連合会に加盟し関西における産学連携の強化に努めるという。
 また、今年7月に開催された、福澤諭吉生誕175年記念式典の運営の中心となったり、関西にいる塾員の交流の起点となっていたりもするようだ。
ただ、一方で関西地区における「慶應義塾」の知名度の更なる向上など課題もある。
 今後は関西での慶應のプレゼンスを高める為の拠点として、講座の充実や知名度向上を目指し、「今後KORCで何をしていくのか」を見極めていくという。
 まだまだ発展途上の慶應大阪リバーサイドキャンパス。大阪に拠点があるからこそ出来ることがある。KORCの今後の展開にも注目していただきたい。
       (大竹純平)
写真提供=慶應義塾