5月13~14日に開幕された男子早慶対抗庭球試合において、計7勝2敗で早大を制し慶大が勝利をおさめた。これは、春に行われる早慶戦では実に26年ぶりの快挙となる。長年の早大連勝記録を破りついにリベンジを果たした慶大庭球部。この試合は選手たちにとってどのようなものであったのか。

 

今回は、慶應義塾大学体育会庭球部主将・藤原智也選手(環4)、副将・林航平選手(理4)、主務・神田喜慧選手(法4)に、当時の心境や今後について話を聞いた。

左より、主務・神田喜慧選手(法4)、主将・藤原智也選手(環4)、副将・林航平選手(理4)

 

―早大に勝利した時の心境を教えてください。

 

藤原選手「素直に嬉しいということが一番多くきたかなという風に思っています。OBの方々を含め、この春の早慶戦で早大に勝つことを目標にやってきたので本当に勝てて良かったと思いますし、自分たちがより成長したと実感できる機会でした。」

 

林選手「自分たちの代で、自分たちが作ったチームが勝ったというところで、言葉では言い表せないくらいの嬉しさを感じました。」

 

神田選手「中学から慶應でずっとテニス部としてやってきた自分としては、ある意味負け続けているのが当たり前だったので、自分たちの代でまさか勝てるとは思っていませんでした。藤原を筆頭にチームができていくなかで大きく歴史が動き始めたというところがすごく嬉しかったです。」

 

 

―今回の勝利の要因はどこにあったとお考えですか。

 

藤原選手「第一に挙げられるのは戦力的な差が縮まったということです。昨年までいらした早大チームの4年生が6人ほど抜けたのに対し、自分たちのチームで抜けたのは1人だけだったのでその点は大きかったかなと思います。またそれによってチーム全体も「本当に勝てるのではないか」と思い始めて、活気ある練習も増え、一体感も生まれました。」

 

林選手「自分もチーム全員の一体感を感じました。特に下級生の熱意や、応援に対する姿勢にすごく助けられました。下級生が頑張ってくれたおかげで先輩たちも頑張ろうと思えたのが、勝利の要因だったように感じます。」

 

神田選手「そうですね、僕的には藤原の存在も大きいのかなと感じています。コート上でのカリスマ性はずば抜けているし、日本一を総なめしているからこその「藤原が言ったらどうにかなるのではないか」みたいな人望もあって…。実力と人望を兼ね備えている藤原の存在が部に良い影響を与えているのかなと思います。」

 

林選手「そういう意味では、今年の早慶戦では「藤原さんを勝たせたい」という思いがみんなのなかにあって。僕は主将のために頑張りたい、という言葉を4年間で初めて聞きました。」

 

神田選手「主将を勝たせたいって部員60人が思うほどの輝くなにかを持っているから良いのかなと思います。」

 

 

―今回26年ぶりに早大に優勝されたとお聞きしましたが、本年までの26年間で抱いていた葛藤や悩みなどがあれば教えてください。

 

林選手「団体戦で出るメンバーが限られるというところで、今まではレギュラーチームとレギュラーじゃない人たちの間の気持ちの隔たり的なものがこれまで課題としてありました。上の人だけが頑張って、サポートする立場にいるメンバーはその人たちを応援しないといけないみたいな構図になっていたと思います。だから試合に出る人は「この人を応援したい」と言われるように努力して、応援される姿勢を意識してきました。でも今年はそれが本当に少なくて、さっきも言ったように、みんながこの人を勝たせたいという思いになっていたのでそこが一番変わったところかなと思います。」

 

 

―これからの意気込みを教えてください。

 

藤原選手「チームとして必ず成し遂げたいこととしては、11月に行われる団体戦全国大会の舞台である王座で優勝することです。そこで、その王座に出るための関東予選であるリーグ戦も含め、春の早慶戦、リーグ戦、王座の団体戦三冠をしたいなと思っています。春の早慶戦では優勝することができたので、残りのリーグ戦と王座で優勝することを目標に頑張っていきたいなと思います。」

 

 

―何かに打ち込んで努力している塾生に向けて一言お願いします。

 

藤原選手「本当に最後までやりきってほしいなと思います。しっかりとやり抜いてきたからこそ出る結果があると思っていて、中途半端に終わってしまうとそれまでの結果しか出ないと思います。なので、自分が決めたことをしっかり最後までやり通すことを大切にしてほしいです。」

 

林選手「僕は、もちろん結果が出ないとダメだとは思いますが、いかに結果を忘れて取り組むことができるかが大事かなと思っています。自分がやるべきことをやり続けたら、もしそれが報われなかったとしても見ている人は見ていて、いろんな局面で手を差し伸べてくれたりもします。結局、自分がどれだけ本気でやっているかがこれからの人生で大事になってくるのではないかなと思います。」

 

神田選手「自分も同じで、やるべきことをやり遂げられるかというところが何をするにしてもすごく大切だなと思います。それが結果を結ぶか否かはやり方次第であって、そもそもやらないと何も変わらない。僕はあまり「誰か」という言葉が好きではないので、天が見ているくらいの気持ちでいるのですが、存在しないものが僕のことを見てくれていて、そうやっているうちに突然ちょっとした運が舞い降りてきて、結果が変わって、で、結果が変わるとまた自分も成長できてまたその成長した先で頑張って、で、頑張っていたらまた運が落ちてきてそれを掴んで。ただひたむきにひたすら頑張っていたら、気がついたら運が降ってくると思います。運は掴める人間のもとにしか降ってこないと思うので、それを掴んで、ちょっとずつ進んでいく。それが早いか遅いかはやり方次第、みたいに考えています。」

 

 

26年ぶりの優勝は、さまざまな思いや葛藤を抱えた部員が一丸となって掴んだものであった。しかし早慶戦優勝はあくまで通過点。もちろん目指すは日本一。今後の庭球部の活躍に乞うご期待。

 

(小山実穂)