就社ではなく就職

―児童書業界の特徴
児童書業界ではベストセラーが生まれてすぐに消えていくということがあまりありません。時代を超えて長生きする、普遍的で良い作品が数多くあり、そうした作品を世の中に送り出していきたい人が集まっています。

絵本はほかの出版物とは違って、情報というよりもモノに近いです。単に内容が分かれば良いというものではないので、即電子化というわけにはいきません。紙のページをめくる、肉声で読んでもらう、ということも含めての絵本体験です。内容だけでなく、モノ自体に愛着を持ってもらえることができるのは絵本ならではだと思います。

 

―会社の特徴
当時縦書きばかりだった絵本を最初に横書きにする試みなど、常識を打ち破り、新しいことをやっていこうという開拓者精神があります。他社がなかなか出さないような凝った絵本も福音館から出るケースがあります。

また、出版社では珍しいと思うのですが、職種として明確に営業や総務や編集等が固定化されていません。入社してからは毎年希望部署を申請できます。もちろん叶わないケースもありますが、希望が通る場合も多くあります。全く違う仕事に見えても、前の部署での仕事が次の部署でも活きてくることが多くあります。例えば営業から編集に移れば、営業時代に見聞きした読者の声をダイレクトに編集に生かせるなどの利点があります。

 

―求める人材
こだわる人・手を抜かない人です。読者は子どもたち。子どもたちは良いものと悪いものをちゃんと見分けます。こだわりのない作品は簡単に見抜かれてしまいます。

さらに、編集なら著者と、営業なら書店や代理店といったように人と人との仲立ちをすることが多いため、調整力・コミュニケーション能力も必要です。

ただ、こだわりや調整力を持っている人と言っても、自分の意見だけを押し通したり、相手の顔色を伺うことに長けた人ではありません。自分なりのこだわりを持って粘り強く相手と話し合うことで、お互いが納得して快く仕事ができるようにする。決して押しが強い人というのではなく、物腰やわらかく対応できる人です。

 

―就活生へのアドバイス
就社ではなく、就職です。一つの企業に囚われるのではなく、視野を広げて、児童書業界、出版業界、紙業界、物語を扱える業界など自分独自の切り口で選択肢の幅を広げてみてください。

そして、学生時代はとにかく自分を知って下さい。自分を良く知って、自分の得意分野を伸ばしてもらいたいです。日本人は自分の苦手分野や弱点を克服したがる傾向がありますが、長所を伸ばしていく方が、自分らしさを磨くことができ、なにより楽しめます。そうすることで、独自のアイディアや発想が出てくるようになると思います。

 

聞き手=大熊一慶


就職活動特集・下では引き続き、東京急行電鉄、東洋経済新報社、日本経済新聞社、日本放送協会、福音館書店を取り上げる。IT系の企業に興味がある人は5面のIT特集。現在の就職活動に興味がある人は朝日新聞社の折り込みに詳細な情報が載っているのでそちらを参考にしてほしい。                        (就職活動特集班)