《多様性取材班》ラグビーのルーツは慶應にあった?

昨年、2019ラグビーW杯は今までにない盛り上がりを見せ、観客動員数は170万人を記録した。そんな日本中を席巻したラグビーを初めてプレイした日本人チームは、ここ慶大で生まれた。1世紀以上遡る1899年の秋。当時慶大で英語の教師を務めていたE・B・クラーク氏は「晩夏から冬にかけて屋外ではなにもすることが無いように見えた」塾生たちに、母国のスポーツ、ラグビーを教えることを考えた。友人の田中銀之助氏の協力を得て、日本人最初のラグビーチームを結成。このチームこそ、現在まで続く「慶應義塾體育會蹴球部」の起源である。

とはいえ、知識、体格に劣る日本人チームの船出は多難なもので、1901年に外国人クラブ「YC&AC」との初陣では5―41と大敗。その後行われた定期戦でも10連敗を喫した。しかし、当時の塾生たちはこの逆境に屈せず、戦術の研究を重ね、独自の「セブンシステム」を編み出した。1908年、ついに「YC&AC」との第11回定期戦で初勝利を飾った。格上の相手に分析を重ね、勝利をもぎ取る現在の日本代表の姿勢をここにも見出すことができるだろう。

ラグビーは品位、情熱、結束、規律、尊重の五つの姿勢・精神を掲げるスポーツだ。それはファンにも十分に伝わっているようだ。今大会のラグビーの盛り上がりには、「にわかファン」の存在が大きい。スポーツ界に限らず、「にわかファン」は煙たがられることも少なくないが、今大会ではファン歴関係なしに、どんなファンも歓迎され、全ての人が楽しむことのできる空気感があった。

勝利のために、自己犠牲を厭わず、仲間と共に猛突撃していく。試合終了の笛が鳴ればノーサイド。握手をし、お互いの健闘を讃える。試合が加熱すればするほど、ラグビーの五つの姿勢・精神は人々に伝播していく。

「ONE TEAM」は選手のみを言い表した言葉ではない。さまざまなバックグラウンドや価値観を持つ人々は、確かにたった一つのスポーツで心を通わしていたのだ。

 

(金子茉莉佳・佐々木遥平)

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