5月28日、医学部生理学教室・岡野栄之教授及び(財)実験動物中央研究所・佐々木えりか室長らは、次世代まで改変遺伝子が受け継がれた霊長類の作出に世界で初めて成功したと発表した。本研究成果は5月28日発行の英国科学誌「Nature」に掲載された。
 これまでのライフサイエンス研究では、遺伝子改変マウスが用いられてきたが、マウスから得られた研究成果を直接ヒトへ当てはめられないことも多くあり、よりヒトに近い霊長類の実験動物が求められていた。
 本研究チームは、マーモセットを研究対象として選択。対象個体の受精卵にGFP(緑色蛍光蛋白質)をコードする遺伝子を注入し、GFPが発現した受精卵を仮親の子宮に移植したところ、第1世代でのGFPの発現に成功した。第2世代においてもGFPの発現が確認された。
 今後はこの遺伝子改変技術により、パーキンソン病など難病の臨床研究が進むものと期待される。