2009年度慶應義塾大学新入生歓迎の集い実行委員会(以下、新歓実)は、「疑いの目を向けられている」経費一切についてはポケットマネーから来年度繰越金へ返還することを約束。「義務保証金」についても、新たな機会を設けて返還した。ひと段落はついたが、「今後の新歓活動の運営は誰が行うのか」という学生も多い。今後、SFCでの新歓はどうなるのだろうか。
「今年度の新歓実の運営にかかわっていた2人は解任されるが、新歓実の組織自体は解散せずに残る」と前新歓実代表はいう。しかし、2010年度新歓実のメンバーは決まっていない。新歓実の運営メンバーは「毎年10から12月ごろに行われる特別総会で新しい運営メンバーの応募要項を発表し、希望者はメールで応募し、自動的に発足する」
仕事が大変だからと言って、不透明感が漂う会計が許されるわけではない。ただ、新歓実の課題は「人材不足」だ。「相当時間的・金銭的負担が大きい割に、運営人数が不足している」という。今年の春の新歓活動の運営に携わったのは「実質は3人」だった。
「新歓実は2年次に一度経験して、仕事は決して楽しいものではなかった。サークル等の新歓活動を規制する立場で、あまり感謝されにくい役割。時間的・金銭的負担も大きい。2年目の今年は、続けないつもりでいた。しかし、2009年度も新歓実の人数は少なく新歓ができなくなるかもしれない状況で、説得され手伝うことにした」と語るのは、解任処分となった前新歓実事務担当者。前年度の新歓実での活動では、経費として認められなかった交通費や印刷代などが5万円以上に上る。
「前日まで新歓準備が終わらなかった場合、バスの始発前に学校に来て、当日準備しなければならないこともあった。他のサークル等の助けも借りながら、ぎりぎり間に合った」そうだが、4月1日から7日までは毎日のようにバス始発前に通っていた。
解任された前新歓実代表は「もっと人数がいれば、少人数では辛い仕事も楽しくなる。次年度以降の新歓実は楽しい組織を目指してほしい」という。理想の人数は「例年新歓に参加する団体、約130団体から一人ずつ来ていただいても、行動しにくい。15人から20人が適当」だという。
そもそも新歓実は「普段はキャンパスでの配布は禁止されているが、新歓期は新歓活動をやりたい」という各サークル等の希望を一括して叶えるために、自発的に設立された団体だ。各サークル等の人的協力をうまく仰げなかった新歓実と、ほとんどの仕事を新歓実に丸投げする各サークル等の非協力的な姿勢が浮き彫りになった。
あるサークルの関係者は、今後の新歓実への要望として「新歓実には我々サークル等がもっと協力できる枠を作って、われわれにもっと広く告知して欲しい。そうすれば、参加しやすくなる」と語る。
サークル等が新歓実の運営メンバーと同等の権限を持てる参与の形であれば、透明な組織づくりにも繋がるはずだ。
(宮島昇平)