1950年より連載が始まり、今なお世界中の人々に愛され続けている「ピーナッツ」。スヌーピーとその飼い主チャーリー・ブラウンをはじめとするキャラクターたちの人間模様を面白く、時に切なく描かれた作品だ。

4月21日から9月24日までの期間、現在の場所のスヌーピーミュージアム(東京都港区六本木)では最終回の「ともだちは、みんな、ここにいる。」が開催されている。スヌーピーミュージアムは2016年4月に始まり、今年の9月に閉館を迎える。最終回の展示会のテーマは「ともだち」だ。厳選された約80点もの貴重な原画やアニメーションなどと共に、ともだち同士がおりなすかわいらしいやり取りを見ることができる。

入口をくぐってまず目に飛び込んでくるのは、「3Dピーナッツ」だ。1951年~1975年の間に描かれた4,452枚のコミックでスヌーピーとチャーリー・ブラウンを表現した3Dモザイクアートが出迎える。

出迎えてくれる3Dモザイクアート「3Dピーナッツ」

館内は2つの新作アニメーションが上映されているほか、「ピーナッツ」の原画約80点、ヴィンテージグッズ、初期作品、イラストなどが展示されている。中でも下の写真は、1950年の連載開始から2か月後に描かれたスヌーピーとチャーリー・ブラウンのエピソードであるが、世界最大の「ピーナッツ」原画コレクションを誇るシュルツ美術館が所蔵する最古の原画である。2013年以来2度目の来日だ。

シュルツ美術館が所蔵する最古の原画

展示されている「ピーナッツ」のストーリーの翻訳は、すべて谷川俊太郎さんが手掛けていて、この展示会のために谷川俊太郎さんが書き下ろした「ともだちは」という詩も飾られている。

この展示会の見どころの一つは、スヌーピーたちのやり取りを通して「ともだち」の大切さや「ともだち」とはどういう存在なのかを改めて考えさせてもらえるところだ。例えば下のストーリー。雨に濡れたスヌーピーにともだちのウッドストックが傘をさしてあげているシーンだが、これについているタイトルは「ともだちって、こういうこと。」である。

「ともだちって、こういうこと。」

セリフはないが、これを見ただけでなにかハッと気づかされるものがある。

他にも、「ともだちは、並んで前を向いたまま過ごせる存在」というお話(下写真=左)や、「しあわせは、ずっと、きみと無駄な時間を過ごすこと」と題したストーリー(下写真=右)があり、これらを読んでいるだけで、「ともだちっていいな」と感じさせる。

「ともだちは、並んで前を向いたまま過ごせる存在」(左)、「しあわせは、ずっと、きみと無駄な時間を過ごすこと」

「しあわせは、敵を愛すること」と題したお話では、本来猟犬であるスヌーピーだが、ウサギと大の仲良しで、ウサギ狩りに出かけても、友だちだから一緒に遊んでしまう。ここに出てくるウサギのキャラクターは、ミュージアムショップで販売されているグッズの中でもかなりの人気商品になっている。

「しあわせは、敵を愛すること」(左)、スヌーピーのともだちウサギのグッズ

物語を読んでいくだけでも十分に楽しむことができるが、内装にも注目したい。入口近くのシャンデリアはスヌーピーでできているほか、原画を展示している入れ物は、犬小屋をモチーフに作られており、かわいらしい。展示スペースの壁紙は、レンガをモチーフに作られていてどこか安心感があり、スヌーピーミュージアムの世界に引き込まれる。歩いているだけでも非常に楽しむことができ、撮影スポット満載だ。

スヌーピーミュージアムの内装

作者のチャールズ M. シュルツが、1950年より約50年間描き続けた「ピーナッツ」。このミュージアムでは、その「ピーナッツ」や、作者チャールズ M. シュルツの歴史を見ることができるのだ。そしてスヌーピーたちを見るだけで癒され、ミュージアムの空間に落ち着き、スヌーピーたちが織り成す物語に心が温まる。きっと帰るころには、幸せな気持ちになるだろう。

スヌーピーミュージアムは9月24日まで無休で開館している。ぜひこの夏、スヌーピーたちに癒されてみてはいかがだろうか。

(鈴木里実)

©Peanuts Worldwide LLC

スヌーピーミュージアム最終回「ともだちは、みんな、ここにいる。」

2018年4月21日(土)~9月24日(月・祝)
会場:スヌーピーミュージアム東京(東京都港区)
時間:10時~20時(入場は閉館の30分前まで)
料金:【日時指定の前売券】一般:1800円 大学生:1200円 中学・高校生:800円 4歳~小学生:400円 【当日券】一般:2000円 大学生:1400円 中学・高校生:1000円 4歳~小学生:600円