ラグビーの関東大学対抗戦は秩父宮ラグビー場などで各試合が開催されている。松永監督のもと、六年ぶりの優勝を狙う塾蹴球部は、もたつきはしたものの初戦の日体大戦と続く筑波大戦に連勝し、好スタートを切った。一方、六連覇を目指す早大は、青学大に対し97―0で完勝。昨季対抗戦二位の帝京大は青学大と立大に、復活を期す『重戦車』・明大は立大、筑波大に対し、それぞれ連勝した。
 
 
 日体大戦
 ▼十月一日 ○
 【慶大48―25日体大】

 先制点を奪われた慶大であったが、13分にモールからの攻撃で逆転するとその後は次々にトライを決め、24―10の大差をつけて折り返す。後半にはオーストラリアへの留学から帰国し、この日先発出場したWTB山田(総3)が圧倒的な存在感を示した。6分には右サイドへの豪快な走りで五人抜きのトライを決めるなど、攻撃のキーマンとしての活躍をみせた。日体大はペナルティを活用して反撃をみせたが、最終的には48―25で慶大が勝利した。
 しかし試合後、松永監督は「フラストレーションがたまっている」と口にした。大差で勝利をおさめたが、「前半後半ともに最後に得点されており、走れていなかった。こういうことをやっていると、早稲田には絶対に勝てない」と厳しい評価を下した。
 六季ぶりの王座奪回をねらう慶大にとって、初戦は課題の残る試合となった。
 
 
 筑波大戦
 ▼十月八日 ○
 【慶大33―18筑波大】

 「最初に得点をとられてしまうのは永遠の課題」と松永監督が振り返るように、『鬼門』とも呼ばれる筑波大を迎えたこの日の試合も、慶大は先制点を許してしまう嫌な立ち上がり。ただ、その後は前半中盤までリードされるものの、26分にWTB出雲(総2)のトライで逆転し、36分にはWTB山田が右サイドの混戦から抜け出て追加点を入れる。
 21―12で折り返した後半3分には、山田が相手選手三人を交わしてのトライを決める。筑波大も負けじとすかさずトライを決めるが、ゴールを決めきれず点差を埋められない。40分には慶大にとって待望の追加点が決まり、このまま33―17で試合が終了した。
 二試合連続で勝利をつかんだ慶大だが、混戦から山田が走り抜けトライを決めるという展開が多く、バックスが山田頼りになっていることは否めない。
 だが、松永監督は「(山田以外で攻撃の)オプションはたくさんある。各個人が攻める意識を持ち、他の選手のところでも得点できるようにしたい」と前向きなコメントを残していた。