慶大では2017年度より、「修学支援奨学金」が新設される。経済困窮を理由として修学が困難であると認められ、かつ成業の見込みがある塾生が対象だ。

支給額は平均で35~40万円を予定しており、返済は不要。採用人数は100人以上を想定している。申請期間は年に2回、6月と11月に設けられ、約2カ月の審査期間を要するそうだ。

塾内の奨学金は、成績優秀者のさらなる育成を目的とする「育英」と、経済的に困窮した学生を支援する「経済支援」の大きく二つに分かれる。本制度は、経済支援に当たる現行の奨学金や授業料免除制度である、「給付特別奨学金」、「私費外国人留学生特別奨学金」、「経済支援給費奨学金」、「大規模自然災害被災学生の授業料等免除」などを統合したものである。

縦割りだった制度の壁を取り払うことで、申請手続きが一本化され塾生にとって分かりやすくなる。かつさまざまな受給者のニーズに応えられるよう柔軟に対応できるようにすることが目的だ。例えば、従来の「経済支援給費奨学金」では留年している塾生は奨学金を受け取ることができなかったが、新制度では生活基盤となるアルバイトをしていたため勉強時間が確保できずにやむを得ず留年してしまった人などにも支給される可能性がある。

新制度は、在学していることを意味する「就学」ではなく、学問を修めることを意味する「修学」という言葉を意識的に用いている。ゆえに審査過程では、困窮の度合いのみではなく、本人の修学意欲も重視する。

慶大では、本制度のほかに、地方出身者が対象で入学前に申請を行う「学問のすゝめ奨学金」、育英型の奨学金、留学を支援する奨学金がある。これらは大学が設けたものだが、三田会や慶應義塾維持会などの寄付により設けられている制度も多数ある。今後は支給総額や人数を統合前の制度に比べ拡大させ、より広く支援できるよう増やす予定だ。大学側は三田会などに協力を呼びかけ、財源確保に努めている。なお、詳しい情報は慶大HPに記載されている。