Mathilde Courroyeさん(フランス)

―大学では何を勉強していますか

INALCO(イナルコ・フランス国立東洋言語文化大学)で3年間、日本語と日本文化を学びました。文化の中では、特に歴史を中心に勉強しましたが、ほかにも様々な講義に出席しました。例えば、日本の政治、法律、宗教、経済、芸能、社会などの講義です。

さらに3年生になってからは、漢文と文語の基礎について学ぶ授業や、通訳と翻訳に特化した授業を取りました。同時に、私は2年生の時から、外国語としてのフランス語という学士課程コースに進み、そこでは言語学や教育学を学びました。

大学を卒業してから1年間、慶應義塾大学に留学しました。今年は母国の大学院で日本語の書類に基づいて琉球学についての修士論文を書いています。同時に中国語を勉強しています。

―大学の授業以外にどんなことをしていますか

1年生に日本語を教えるチューターのアルバイトをしています。また、パリ三線体験という組合に入っていて、三線の稽古や演奏をしています。三線を教えてもらう先生はフランス人の方で、生徒はイナルコの学生以外にも、日仏大使館で働いている人やフランスに住んでいる日本人の方もいます。

遊びに関して、私はクラブ派ではないので、ジャムセッション、演奏会、コンサートの方によく行きます。そして友達と常連のバーへ行って、ちょいちょい来るお客さんと喋ったり、お酒を飲んだりしています。フランスの日曜日は、キリスト教の影響で多くのお店が閉まっていますが、グランド・ド・モスク・ド・パリなどのキリスト教と関係のない場所で友達とアラビアお菓子(バクラバ等)を食べながら、シーシャ(水煙草)を吸います。

―大学を卒業した後にやってみたいこと、なりたい就業はありますか

機会があれば、ニューカレドニアで日本語を教えたいと思っています。日本でニューカレドニアと言えば「天国に一番近い島」と言われていますし、いいことでしょう?実際、ニューカレドニアの中学校では英語の次に日本語が選択される言語だそうで、日本語教師が募集されています。

そうでなければ、世界のどこかで日本語か中国語を教えたいです。

―今の生活や、未来の生活で不安なことはありますか

フランスでは失業者の25%が若者だそうです。それに、正社員ならまだしもアルバイトまで探すのが困難なので、「先が見えない」とか「仕事は絶対見つからない」と現在の若者は強く思っています。私自身もそういう思いは避けられないです。

実際日本とは違い、就活のように決まった制度がないので、自分で探さないといけないのが現状なのです。さらに会社からすると、新入社員を募集するとき一番大事なのは出身大学ではなく資格なので、若者は転学したり、大学院に進学したり、学歴を重ねるほかに方法はないのです。

こうした「資格競争」の中、私みたいに言語しかできない学生は失業者になりそうで本当に不安です。その制度を脱して海外で仕事がしたいと言っている若者は少なくありません。

―私たち大学生や若者が、あなたの国で、あるいは世界で、いちばん取り組まなければならない問題は何だと思いますか

とりわけヨーロッパ各国の自国中心的な国家観は、国際化の進む現代社会において時代遅れなものだと思います。個としての国の力が薄れてしまった今、経済的、政治的、文化的な面で世界の国際化に追いつくためには、EUなどの共同体の結束力が一つの解決策だと感じています。ですから、個人的にはEUをとても応援しています。

最近はイギリスが離脱しましたが、むしろそれを契機にEUの可能性を経済的な結束だけではなく、政治、法律、社会にまで広げてほしいです。例えば、フランスにおける法律学の勉強ではフランスの法律の代わりに、ヨーロッパの法律を中心に勉強してほしいということです。そういうヨーロッパを作るのは現在の大きな課題です。

またアイデンティティとして、ヨーロッパの戦争の記憶が未だ残っているお年寄りの人は多分共感しないと思いますが、ヨーロッパの若者にとっては、スペイン人、ドイツ人、ポーランド人ってほとんど変わらないです。フランス人、イタリア人、ハンガリー人って区別できないです。どこの国の人でも同じように感じられます。

ただ大事なのは、ヨーロッパ人であるということなのです。そういう感じでヨーロッパの若者は生きています。

―日本の印象はどうですか

留学中に何回も思ったのは、日本はアメリカにすごく似ているということです。どこが似ているのかというと、広告、コンビニ、それらによる過剰消費、どこでも資本主義が漂っているということです。ある意味で日本は生活しやすく、便利な国だと言えるでしょう。

ただ、アメリカと同じように、お金さえあればその利便性を満喫できますが、お金がないと辛いのではないでしょうか。反対に、フランスでは経済的に苦しんだら政府からお金をなんとか支給してもらえますが、なにせ不便な国なので、お金を持っていてもそれを使う意欲が湧きづらいように感じます。

―フランスで起こったテロについて、どのように考えていますか

フランスで起こったテロは、残念ながらイランやイラクにような国で毎日行われるものに過ぎなかったのです。ただ、フランスは国として世界でよく知られていていますし、外交に大きな影響を与える国なので、中東の国々のテロより世界各国で多く取り上げられ、話題になりました。私はそれが少し不平等であると感じています。

また、そのテロ事件は、実をいうと「東京で大きな地震がおこる」と言われているように、以前からずっと「フランスでテロが起こり得る」と皆が意識していました。その事件が実際に起こって、ムスリムのフランス人の友達が可哀そうに思いました。なぜかというと、そのテロで現在一番苦しんでいるのはムスリムの人達なのです。

この先心配なのは、テロ事件の結果でイスラム教への嫌悪感が高まる恐れがあるということです。今年フランスへ留学している日本人は、頻繁に日仏大使館から「今日はイスラムの行事が行われますので、十分に注意して下さい」というような注意喚起のメールを受け取っているそうですが、それは宗教差別ではないかと私は思います。


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