東京六大学野球春季リーグ戦は四月八日、神宮球場で開幕した。相場新監督のもと三季ぶりの優勝を目指す慶大は、第一週の立大戦では瀧口らの活躍により勝ち点を得たが、第三週の法大戦には敗れた。その翌週の東大戦で二つ目の勝ち点を獲得したものの、第四週終了現在、強打を誇る法大(勝ち点3)や、粘り強い戦いを見せる明大(同2)を追う展開となっている。巻き返しを図りたい慶大は今後、第六週に明大と、最終第八週に早大と対戦する予定である。

 慶×立
 ▼第一戦 ○
 【慶大4―3立大】
 序盤に3点を先制した慶大だが、追加点を奪えずにいると、土壇場九回、立大の粘りで同点に追いつかれてしまう。しかし主将の金森宏(環4)が、「(追いつかれても、チームに)沈んだ感じはなかった」とコメントするように、投手陣が勝ち越し点までは許さず、同点のまま延長戦に入る。そして迎えた延長十回、「とにかく勝ちたいという強い気持ちがあった」(同)との通り、満塁のチャンスを作ると、瀧口(政4)が中前に打ち返し、三塁走者がホームに帰った瞬間、今季開幕戦を劇的なサヨナラ勝ちという形で飾った。
 試合後、新監督として初陣を飾った相場監督は「正直うれしい」。さらにサヨナラヒットを放った瀧口に対しては「悔いを残さず思い切っていけ(と言って送り出した)」と試合を振り返った。

 ▼第二戦 ○
 【慶大14―2立大】
 前日の劇的勝利を演出した瀧口がこの試合でも3度の打席でチャンスを活かし、いずれもタイムリーを放ち、3打数3安打5打点と大暴れした。
 他の打撃陣も瀧口に触発されたように面白いようにつながり、立大投手陣から14点を奪い、圧勝した。結果、連勝で勝ち点を取った。
 試合後、瀧口はこの日のゲームについて「調子はよく、球がよく見えていた。みんながつないでくれるので、(チャンスでの打席にも)プレッシャーを感じず、自分が決めてやろうというより、次につなげようとして打席に入った」と語り、次の法政戦に向けては、「チームの雰囲気はいいのでさらに細かいところを修正して試合に臨みたい」と意気込みを述べた。
 
 
 慶×法
 ▼第一戦  ●
 【慶大1―5法大】
 序盤に3点を失い、反撃したい慶大だが、せっかく作ったチャンスの場面で走塁ミスやバントミスが出て、自ら流れを相手に明け渡してしまう。8回には法大にダメ押しとなる2点を追加され、そのまま敗れた。チャンスを確実にものにしていく法大の隙のない野球が目立った試合だった。
 相場監督「勝負の世界では、ミスをした方が負ける。(翌日以降のゲームについては)しっかりした野球をする」と淡々とした口調。

 ▼第二戦 △
 【慶大1―1法大】
 2回、岡崎(総4)が右翼席へソロホームランを放って慶大が先制するものの、5回には法大に同点に追いつかれてしまう。
 その後は両校の投手陣が粘り、同点で迎えた7回、慶大は無死満塁、勝ち越しのチャンスを掴むと、代打攻勢に出る。しかし、あと1本が最後まで打てず、そのまま引き分けに終わった。
 優勝のためには負けられない戦いが続く状況の中、主将の金森宏は「あまり先のことは考えず、1つ1つのプレーに集中する」と意気込みを語った。
 なお、この日はプロ併用日のため、9回まで(延長戦なし)の特別ルールで行われた。

 ▼第三戦 ●
 【慶大0―3法大】
 二試合両方で勝ち星が奪えなかった慶大は、エースの加藤を初戦に続いて再び先発させ、この試合に必勝を期した。しかし慶大は一回、三塁松橋のエラーで先制を許すと、四回には佐藤康に2ランを浴びて、試合前半で3失点を喫した。一方の打線は、法大・平野貴特有の落ちるスライダーを前に完全に沈黙。二回には無死一、三塁のチャンスを掴んだが、難波、加藤、瀧口がいずれも倒れ、結局最後まで無得点に終わった。
 この結果、慶大は昨季の覇者・法大相手に勝ち点を奪えず、四位に後退した。
 
 
 慶×東
 ▼第一戦 ○
 【慶大7―0東大】
 連覇を狙う法大相手に勝ち点を奪えなかった慶大は、背水の陣で東大との初戦に臨んだ。
 序盤は慶大・加藤と東大・重信による緊迫した投手戦で試合が進む。しかし迎えた五回、2死一、三塁で、この日は二番に座った瀧口が先制タイムリーを放って慶大が均衡を破った。これで慶大は緊張がほぐれたのか、六回には相手のエラーにもつけ込んで4点を加点し、勝負の行方を決めた。一方投げては、中盤に捕まった重信とは対照的に、加藤が九回まで安定した投球を披露。東大打線を散発6安打に抑え、自身の今季初勝利を完封で飾った。
 金森宏主将「法大に負けてしまった事で、全員で東大戦に向け気持ちを切り替えた。今後は(自力優勝の可能性が無い分だけに)目の前の一球一球に集中した戦いをしていきたい」。 

 ▼第二戦 ○
 【慶大7―0東大】
 「去年までのリリーフ登板とは違う先発にも慣れてきた」と話す守口(商3)が、この日のヒーロー。「調子は良くなかったので、打たせて取る感じで投げていった」との言葉通り、六回まで投げて奪った三振は三つだけ。しかし、被安打3、四死球1で72球という効率の良い投球が光り、東大打線を完全に沈黙させた。守口は今季三回目の先発での初勝利(大学通算2勝目)に、「正直に言ってうれしい」と、ほっとした表情を見せていた。
 相場監督「今日はピッチャーが頑張った。昨日と今日で勝利できたのは、投手陣が安定しているのが大きい。明治戦は(投打を含めて)全力でぶつかっていきたい」