第42回先進国首脳会議、通称伊勢志摩サミットが5月末に開かれた。それに先駆け、「Y7サミット(Y7 Summit Japan 2‌0‌1‌6)」が4月30日から5月3日までの4日間、政府の後援を得ながら東京で開催された。

Y7サミットとは、G7加盟国とEUの計8つの国と地域から、専門知識を持つ30歳以下の若者約40名が集まり、議論を重ね共同声明を発表する場である。今回の議題は「安全保障」、「労働と経済」、「持続可能な社会」の3つに分けられる。「安全保障」ではテロやそれに伴う諸問題に関する対策、「労働と経済」では少子高齢化、ITや人工知能の技術発展による労働環境の変化への対応、「持続可能な社会」では男女平等や人権について、を主に取り上げた。ここで採択された共同声明文は日本政府に提出され、G7各国首脳団の政策決定の参考にされたという。

従来Y8サミットはG8に合わせて開催国の政府主導で行われていたが、ロシアが離脱しG7になってからは開催されていなかった。今回の伊勢志摩サミットでもY7の開催予定はなかったという。「せっかく7年に一度の、日本で開催するチャンスなのにもったいない」。日本政府が開催しないことを知った中村美月さん(法3)は伊勢志摩サミットに合わせY7を開催、運営しようと決意した。

準備は資金集めから始まった。大使館や企業に自分たちの想いを伝えて共感を得ることは簡単ではなかった。政府後援での開催が決定したのは、開催直前の今年1月だったという。オープニングセレモニーで各国の代表団が入場する瞬間の達成感はひとしおだった。

Y7サミットの意義は、自由な立場で自由に発言できることにある。政治家や官僚だけでは見逃してしまいがちな若者独自の視点、柔軟な発想を持ち寄る機会は貴重なものだ。会議中は文言の一語一語に気を遣い、まさにG7サミットと同じように議論を重ねた。各国代表には、政府の職員や、中央銀行の政策決定委員会のメンバーもおり、専門性の高い議論となった。

その集大成として共同声明文が採択された。共同声明文は数十時間もかけて議論した結果であり、サミットの中で最も重要なものである。「共同声明文が採択された瞬間は感無量だった」と中村さんは話す。

Y7サミット開催中には講演会や食事会、文化交流会など、様々なイベントがある。高校生の迫力ある和太鼓の演奏や、全員が一体となった阿波踊りは、各国代表団にも好評だったという。これらのイベントは交流を深めると同時に日本文化の紹介にもなった。

次回のY7サミットは、来年イタリアで開催される。日本は代表団を派遣する立場になる。「社会に自分の考えを発信する手段のひとつとしてY7サミット、G20にともなうY20サミットも考えてほしい」。塾生の活躍にも期待がかかる。
(小原里)