白熱するディスカッション(写真右=中村伊知哉氏)
白熱するディスカッション(写真右=中村伊知哉氏)
シンポジウム「未来の教科書をみんなで考えよう!」が先月25日、慶大三田キャンパスで開催された。

このシンポジウムはDiTT(デジタル教科書教材協議会)が主催したもので、教育現場へのデジタル教材導入とその課題を公開議論し、より多くの人々と情報を共有することを目的としている。





当日は遠藤利明衆議院議員をはじめ、教科書出版会社や慶大大学院メディアデザイン研究科から各分野の識者が登壇し、主にコストと著作権、教科書検定の面から意見を交換した。

初めに慶大大学院メディアデザイン研究科教授でDiTT事務局長を務める中村伊知哉氏がデジタル教科書導入の現状を説明。その後、「今ある教科書のデジタル化に対するマイナスの反応や心配は大きく、変化することへの漠然とした不安が大きい。決断のタイミングは来ている。議論は必要だが、スピード感を持って決断のタイミングを計ることが大事だ」と述べ、本格的なディスカッションを前にデジタル教材導入への強い意欲をみせた。

議論においては、東京書籍ICT事業本部第一営業部の川瀬徹氏から、デジタル化には著作利用料など多くの金銭的コストがかかることが挙げられたほか、デジタル端末やLAN設備の導入をどこまで行政が援助していくのか、インターネットに繋がったデジタル教科書をどの範囲まで検定するのかといったことが議論の的となった。

最後の質疑応答では参加者からプライバシー保護に関するものなど多くの質問がなされ、登壇者だけにとどまらない双方向的な情報交換が行われた。

■DiTT(デジタル教科書教材協議会)
すべての小中学生がデジタル教科書をもつ環境を実現することを目的に、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏らを発起人として、2010年に発足した。