三田演説会 鶴岡の取り組みを紹介

「創造的研究を地方で」

第699回三田演説会が先月28日、三田キャンパスで開かれた。「『唾液で癌診断』から『人工クモ糸』まで~慶應鶴岡キャンパスの挑戦~」と題して、生命先端科学研究所所長の富田勝教授が登壇した。同研究所は、山形県鶴岡市の慶大鶴岡タウンキャンパスにあり、システムバイオロジー分野の研究が行われている。

富田教授はまず、鶴岡が持つ自然の豊かさに触れ、創造的な研究を地方都市で行うことの意義を語った。首都圏に大学や研究所が集中する中、「山形に研究所がある限り成功しない」と当初、言われたことが現在のモチベーションに繋がっているという。

この研究所が設立されたのは2001年。まず物質のメタボローム解析を行う技術の開発に着手し、2003年に特許を取得した。この技術を使って細胞内の分子を大量に解析することで、血液や唾液から病気を判定することが可能になった。

また、学生による研究の成果として、世界初となる人工クモ糸の作成技術の開発も紹介された。もともとクモ糸は丈夫な繊維として知られており、この糸を使えば原料を石油に頼る必要もない。現在では、トヨタの自動車部品の補強材としての実用化が進められている。

富田教授は「『人と違うことを考えついてやることが面白い』と思える文化を重要だと考えてきた」と語る。新興国が力をつけていくため、今後の日本は、高くても買ってもらえるモノや情報を作りださなければならない。だからこそ、言われたことをやるだけでなく、勇気を持って人と違うことに取り組める人材を増やしていくべきだと富田教授は強調した。