フクヤマ氏、日本の閉塞感を憂う

各国の歴史を踏まえて政治を語るフクヤマ氏
歴史踏まえ政治を考察

国際セミナー主催「歴史の始まりと終わりThe Beginning and the End of History」が先月7日、三田キャンパス北館ホールで開催された。

世界的ベストセラー『歴史の終わり』の著者であり、現在は米国スタンフォード大でシニアフェローとして活躍しているフランシス・フクヤマ氏が講師を務めた。今回は、今月5日に刊行されたフクヤマ氏の新著『政治の起源』のテーマである「政治制度の発展とメカニズム」についての説明が行われた。

講演の前半では「国家」「法の支配」「説明責任」の3つを政治体制の要素として挙げ、各国の統治の歴史について考察が行われた。中央集権的な政治を行う中国、法によって発展を進めてきた西欧諸国、そして権力分立が特徴的な米国の歴史を比較し、それぞれの政治制度の問題点についても言及した。

中国の政治には「法の支配」や「説明責任」といった要素はないが、統治者が優れているならば独裁は必ずしも悪ではないと分析。一方、米国の政治については、中国の政治にはない要素を持つが、権力が分散しているために意思の決定に時間がかかるという欠点があると指摘した。両国の政治制度の利点と欠点を踏まえた上で、日本の政治については「中国と米国の中間を目指すことを目標とすべき」と述べた。

日本の政治の現状について「政治的に劣化してしまっている」と危惧し、その原因を「政治家のイデオロギーの硬直と、富と権力を持った利益集団が国家を自分たちに有利なように動かしているためだ」と分析した。

また、外的なショックによって日本の政治が良い方向に変化する可能性に触れた。「アベノミクスが日本の政治の改革になることに期待する」と述べて講演を締めくくった。