慶大は先月1日から、8大学合同で電子書籍の活用に関する実証実験を開始した。同実験を通して電子書籍の利用実態を明らかにし、日本語学術書の電子化を促していくことを狙いとしている。

今回実験を実施する意義は、慶大を幹部校として、東大や阪大、名古屋大など、多様な大学が足並みをそろえて合同で調査、実験をすることにある。大学図書館全体において、電子書籍がどれほどの需要を持っているかを具体的に調査し、明確に証明することが期待されている。

同実験では、各大学で10―20名の学生を対象にしてモニター調査が行われる。学生らには専用のアプリが搭載されたiPadなどを貸与する。利用データや専用アプリの評価、さらに使用デバイスごとに利用法の違いがみられるかなどを観察する。今回の調査ではインタビューやアンケートを用いて実施していくという。

並行して、電子教科書の提供・利用実験をはじめ、読者が電子書籍化を望むコンテンツについての調査も行う。また、電子書籍の検索や閲覧をより簡単にするためのナビゲーションシステムを検討していく。

実験は12月末まで行われる。調査結果や調査を通して得られたデータは、各電子書籍のサービス実用化に向けて出版社との話し合いに活かされる予定。