node 生みの親 小西康高さん
「新人映画監督を応援したい」という思いから、映画プラットフォーム「node」が生まれた。生みの親は慶大大学院のメディアデザイン研究科に所属する小西康高さんだ。nodeは学生自身がサービスをつくり、それを通じて研究を行う「リアルプロジェクト」という取り組みの一環にあたる。

映画館で作品を公開するには莫大なお金が必要だ。集客が見込めるか分からないオリジナル作品は敬遠され、原作ものやテレビドラマのシリーズものの作品ばかりが上映されている。「現在の仕組みのままでは、若手の映画監督が活躍するチャンスが少ない」という考えがnodeを立ち上げるきっかけとなった。

ウェブサイトを作る上で重視したのは若手監督からの要望だ。一つ目は熱心なファンとの交流、二つ目は映画業界とのつながり、三つ目は日々の収入だ。製作を始めてから公開するまでのスパンが長いため、映画製作のみで生活資金を稼ぐのは難しいそうだ。

小西さん自身が目標としたのは、見ず知らずの人が作ったオリジナル作品を気軽に見ることができる環境をつくることだ。作品を観るために課金する形式は避け、無料で視聴できるようにした。

nodeには一人の監督につき、インタビュー・作品・商品購入の3項目が紹介されたページが設けられている。購入ページでは作品やチケットのほか、人形アニメーションの監督が依頼人の希望通りの人形を作るなどのサービスも販売している。監督が関わった品やサービスを買うことで、その人をより好きになってもらうことが狙いだ。

入学以前にPRの仕事をしていた小西さん。近年デジタル技術の発展によって、分断されていた商品の企画・開発・宣伝の三つが混ざり始めたと感じていた。宣伝をするためには企画や開発の段階も知るべきとする考えがnodeには反映されている。

今年の7月7日に開設されたnodeだが、徐々に効果が表れ始めた。監督をスタッフとして雇いたいという映画業界からの依頼や、「自分も作品を出したい」といった連絡が増えている。また、SNSを通じての評判も広がってきた。

現段階では完成版の作品しか取り扱っていない。これからは撮影の進み具合と連動した動画や、視聴者からの意見を参考に修正した作品の配信を予定している。小西さんは「映画監督のステップアップとコンテンツの拡散を共生させる場としてnodeを発展させたい」と語る。

天文学用語で「交点」を意味するnode。監督と映画業界、ファンが出逢い、一体となって映画界を盛り上げる場になることを期待したい。    (浦野志都)