慶應義塾大学医学部整形外科と理化学研究所などとの共同研究によって、椎間板ヘルニア(以下ヘルニア)の原因の1つとなる遺伝子が発見された。これにより、青壮年層の1%がかかっていると言われているヘルニアの予防や治療法、治療薬の開発が大いに発展することが期待される。

 この研究は5年前から独立行政法人、理化学研究所と協力してきたもので、2年前にもヘルニアの原因となる別の遺伝子を発見している。

 今回発見されたのは、COL11A1と呼ばれる遺伝子の塩基の変異で、コラーゲンの1つを規定する遺伝子である。この遺伝子を基に作られる11 型コラーゲンは椎間板を構成しているタンパク質の1つで、椎間板が変性してヘルニアにならないように保護する働きがあると考えられている。この遺伝子に存在する遺伝子多型の「疾患感受性アレル」を持つ人は、持たない人に比べ1・4倍もヘルニアになりやすい。

 本研究は、慶應大学病院でヘルニアの手術を受けた患者の承諾を得て血液を採取し、赤血球よりDNAを抽出し、理化学研究所で遺伝子解析を行っている。