春日文子氏が講演 多角的な視点をもつ大切さを説く

自らの経験をふまえて語る春日氏

第46回人間教育講座が先月11日、日吉キャンパスで行われた。今回の講師は日本学術会議副会長の春日文子氏で、テーマを「科学の連帯」として講演。
春日氏は厚生労働省の国立医薬品食品衛生研究所や日本学術会副会長を勤め、国際的微生物研究組織であるICMSFを兼任しており、幅広い裾野で活動している。
今回の講演では、自身のこれまでの経歴や経験を語り、その際に得られた知識を用いて放射能nのリスク回避への応用に貢献したことについて語った。
春日氏が厚生労働省で食品の衛生管理対策を行っていた際に微生物学的リスク評価の手法が新しく導入された。これはWHOとFAOが合同で作った新しいリスク評価の手法。食品の流通過程において一つ一つの過程で詳細なデータをとり、そのデータに基づいてそれぞれの過程における対策の効果を推定するというものだ。鶏を生食する際に起こりうる、カンピロバクター食中毒に関するリスク評価等に貢献した。
春日氏は、この新しい手法の国際的な勉強会に参加。その際多角的にデータを取ることの重要性や論理的理解、事象の全体的把握、チームワークの重要性、そして政策決定のための科学の役割の重要性を深く実感したという。
その後日本学術会議に活動の場を移した春日氏。そこで活動をしていく中で3.11が起きた。
春日氏ら日本学術会議の東日本大震災復興支援委員会は、先のリスク評価の手法を生かして放射能の拡散過程や人体への被爆ルートなどのデータを網羅的に把握。拡散過程を項目ごとに分けて一つずつ検証し、それらを体系的に理解することで素早く実態を解明する報告書を作成。同時に政府への今後の取り組みに対する提言を行った。
また、講義の最後に春日氏は自身が流れに身を任したままの生き方であったことを振り返り、自分の将来を決めるのはその環境であるのだから今の環境を大事にし、自分を変えていくことの大切さを説いた。