3年間の暗闇抜けだす

主将としてチームをけん引した佐藤

全日本ラクロス大学選手権、男女アベック優勝。史上初の快挙となった。 「自分たちはこのレベルで落ち着くチームではない」。大学選手権優勝はあくまで通過点だったと女子主将の佐藤由佳さん(法4)。男子主将の相川駿さん(法4)も「1年間、(大学選手権以降の)全日本選手権決勝の舞台に向けて練習してきた」と話す。快挙に満足する様子も見せず、全日本選手権に臨んだ。

社会人に物怖じすることなく決勝の舞台まで勝ち進んだ。この日のために準備を重ねてきた相川主将は「自分たちのラクロスをするだけです」。佐藤主将も「決勝も勝ちます」と短くも力強い言葉を残した。
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注目の光を浴びるまでには、抜け出せない暗闇もあった。両主将が入部してから3年間、男女ともに3年連続で関東リーグ敗退。壁を越えることができなかった。
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4年生の最後の挑戦が始まった。
最初に行われたのは男子決勝。相手は現在4連覇中で日本代表選手をそろえた強豪。試合は、相手を追う状況にも粘りを見せたが、第3Qにミスもあり、攻撃のリズムをつかめなかった。9―14で日本一にあと一歩届かず。
男子の敗戦を目の当たりにした女子。しかし、「男子は男子、女子は女子で切り替えて臨んだ」(佐藤主将)。試合序盤から相手を圧倒し、追われる展開でも「焦ることなく」試合を進め、10―6で勝利、日本一の栄冠を手にした。
試合後、相川主将は「この負けが、慶應ラクロス部に良い影響を与えれば」と悔しさをにじませた。一方、佐藤主将は「最高です」と喜びを一言に凝縮させた。
最後で明暗が分かれた。しかし、全日本選手権決勝までの道のりは慶大ラクロス部の成長の糧となり、新たな歴史の原動力になるだろう。        (樫村拓真)

全日本選手権決勝で敗北し、肩を落とす男子