湘南藤沢キャンパスの清木康研究室と大日本印刷株式会社(以下DNP)は、デジタルコンテンツの内容を解析し、その内容の持つ感性的なイメージに合致したフォントを自動選択するシステムを共同研究・開発したと発表した。このシステムが実用化されれば、今後デジタルコンテンツのよりダイナミックな表現が可能になることが予想される。

 現在、雑誌や書籍といった紙媒体のメディアにおいては、書籍デザイナーなどの専門家が内容を独自の感性により「明るい」「寂しい」などと判断し、イメージに合った書体を選択している。それに対し、電子機器で表示されるコンテンツはあらかじめ表示書体が設定されていることが多く、書体の使い分けによる感性的な表現は紙媒体と比べて乏しかったともいえる。

 清木研究室とDNPはその点に着目し、内容と書体を照合・選択してきた3名のデザイナーの経験値と、各自に共通する感性を元に用意された13 の書体と40の形容詞がどの程度合致しているかを計算する多次元ベクトル空間を構成し、その空間を対象とした数値データベースを構築した。そして書体を選定する際は対象となるデジタルコンテンツから感性的な表現を抽出して数値データ化し、デザイナー経験値によって構築した数値データと照合した際に、多次元ベクトル空間上において、合致の度合いが高い書体から優先的に表示させるという仕組み。また標準・子供・白内障による視覚障害の3つの使用モードと、大型ディスプレイ・PC・携帯電話の3つの動作環境を選択することで優先順位を変更することも可能。

 現在このシステムは文章だけでなく、色と書体の数値データベース化により絵画にも使用可能で、「ストリートチルドレン2008年カレンダー」(発行元=ストリートチルドレン芸術実行委員会)の製作では実際に使用された。近年中には「画集の自動作成や、音楽と照明のデータベース化も実現予定」だという。清木研究室とDNPはシステムの実用化に向けた取り組みを今後も行っていく予定。