数値化した分析データをプレイヤーに分かりやすく伝える
 表舞台で活躍する選手もいれば、見えないところでチームを支える選手もいる。慶大ソッカー部の分析班はその一つだ。

 今回はその分析班を代表して、石浦直さん(経4)、野本浩平さん(商4)、山田慎さん(経3)にお話を伺った。

 ソッカー部の分析班は選手が役職として就任する。そのため、分析班として活動する間は自分の練習の時間が削られてしまう。それでも、「仕事は言い訳にしないことを念頭に働いているし、分析の仕事が自分の成長の妨げになったことはない」と話す。

 彼らがそういった気概を持って取り組む分析の仕事は長時間に及ぶ。試合の2週間前に撮影した映像を分析し、数値化、試合3日前のミーティングで選手に伝達する。「長すぎても良くない。分かりやすく端的に伝える」ことが重要になる。

 このように時間と労力を要する分析は「成果が目に見えるものではない」が、「試合後、選手たちから感謝されると、やって良かった」と感じられ、次の仕事へのモチベーションになるという。

それを繰り返していく中で、「チームに貢献していると思えるようになった」と同時に「勝った時の喜びも大きくなった」と、意識面での変化も見られたという。

 3選手の分析という仕事への思い入れは強い。「僕らの仕事は目立たない。それでも、フィフティーフィフティーの試合が分析の力で少しでも有利になればいい。それが僕らの仕事であり、ソッカー部における分析班だと思っています」と想いを語った。

 前期は8位に終わり後期で上位浮上を狙う慶大ソッカー部。厳しい戦いが続く中で、分析班が躍進の一翼を担うことは間違いない。
     (樫村拓真)