3Pシュートを放つ金子

リーグ戦序盤で2敗を喫した慶大。さらに、主将の二ノ宮(環4)が足の怪我により戦線を離脱してしまう。しかし、第3週から第6週にかけて控え選手が急成長を見せ、明大、中大に2連勝。通算戦績を8勝4敗とし、日大と共に暫定2位タイに急浮上した。    (井熊里木・塚本雅章)

◇筑波大第1戦守備崩壊で速攻出せず

筑波大との初戦。慶大は2ピリオドまで筑波大に12点差をつけていたが、徐々に点差を詰められ逆転を許し、69―74で敗れた。
慶大の得意な相手ボールを奪ってから速攻を仕掛けるプレイが序盤はできていたものの、最後まで継続することができなかった。
また、相手ディフェンスの圧力に押され、無理な体勢でのシュートが多く、相手のディフェンスを崩しきる形はほとんど見られなかった。
早くも3敗目を喫した慶大。これから勝ち進んでいくためには「ディフェンスでしっかり頑張って、速攻につなげる」(佐々木ヘッドコーチ)バスケットを確立することが急務だと言えよう。

◇筑波大第2戦伏兵金子台頭好守備で牽引

何としても2連敗は阻止したい筑波大との第2戦。控え選手を中心に終盤得点を重ねた慶大が92―69で完勝し、前日の雪辱を果たした。
この日の勝利の立役者は、二ノ宮不在によって司令塔を託された金子(環3)。
「チームのためにディフェンスを意識して頑張りました」と金子が語るように、持ち前のディフェンスで相手ボールを幾度も奪い、岩下(総4)、酒井(環4)らのシュートにつなげた。
さらに、現在の慶大はこの日コートに立って活躍した中島(総1)、矢嶋(総1)らを中心に「今までにないくらい良い人材」(佐々木ヘッドコーチ)が揃う。
◇明大第1戦全員バスケで5人2桁得点

リーグ4週目の相手は、大学バスケ界屈指のスコアラー金丸を擁する明大。
慶大が87―66で初戦を制し、今季リーグ戦初の2連勝に望みを繋げた。
序盤、慶大は酒井を起点に、テンポよく点を重ねる。対する明大も、金丸にボールを集め、譲らない。しかし後半、明大のシュートがこぼれ始める。
一方慶大は、金子が連続3Pシュートを沈めるなど、リードを拡大。
結局、終始冷静に試合を運んだ慶大が、87―66で勝利した。
注目すべきは、この試合25得点の酒井を筆頭に、慶大は5人が10得点越えを記録したことだ。
「各個人が組織の一員として役割をしっかり果たした上で、自分の個性を出す」(岩下)。
チームがリーグを通して進化しつつあることを伺わせる一戦であった。
◇明大第2戦酒井独壇場4Q15得点

明大との第2戦。慶大が粘る明大を振り切り、今季リーグ戦初の2連勝で第4週を締めくくった。
序盤は互いに五分の展開。ディフェンスから波に乗りたい慶大は2Q、ゾーンプレスにディフェンスを切り替える。
この作戦が功を奏した慶大はガード陣を中心に得点を重ね、最大20点差にまでリードを広げる。
ところが3Q、アウトサイドシュートが決まりだした明大が一時は3点差にまで詰め寄る。
このピンチに慶大は酒井が第4Qだけで15得点を挙げる。岩下の欠場、二ノ宮の戦線離脱と、チームの柱が揃わない中「ずっと4年生が勝負を決めないといけないという思いが強くあった」と酒井。
終わってみれば91―80で慶大が勝利。酒井の最上級生としての意地が、慶大に勝利を呼び寄せたと言えよう。
◇東海大第1戦序盤出遅れ2点差惜敗

198㌢のオールラウンダー満原を中心とする東海大との初戦。
ラスト2点差まで追い上げた慶大だが、逆転はできずにタイムアップ。東海大に惜敗を喫した。
「出だしが全てだった」という酒井の言葉どおり、東海大満原の個人技により次々と加点を許した慶大は、第1Qで10点の遅れを取る。
第2Q、家治(環3)、金子による活躍で慶大が5点差まで喰らいつくも、第3Qに再び点差を広げられてしまう。
63―72で迎えた最終Q、守備をゾーンプレスに切り替えた慶大が怒涛の追い上げを見せる。
ラスト22秒。酒井の3Pシュートでついに88―90と2点差まで詰め寄った慶大は、この日25得点の家治に最後のシュートを託す。しかしこれが無情にも外れ、試合終了のホイッスルが鳴った。
◇東海大第2戦金子3P炸裂延長戦を制す

東海大との第2戦。延長戦の末慶大が102―95で勝利し、前日の雪辱を果たした。
「あいつの持ち味は何と言ってもシュート力」(酒井)。金子の3Pシュートが随所で光った。
立ち上がりは慶大のターンオーバーが目立ち、前日同様東海大ペース。41―49と東海大リードで前半を折り返した。
しかし、第3Q開始直後、金子が立て続けに3Pシュートを決めると、流れが慶大に傾く。
最終ピリオド残り5分、金子が3Pシュートを沈め、ついに慶大が逆転。その後一進一退の攻防が続き、86―86で延長戦へ突入した。
延長戦に入っても、蛯名(法1)、金子が冷静にゲームメイクし、ペースを逃さない。終わってみれば102―95。慶大が逆転勝利を収めた。
◇中大第1戦1年生魅せた120点試合達成

リーグ後半戦最初の相手は、中大。
「試合をこなしてきた経験が少しずつ出てきていると思う」(中島)。
1年生トリオが魅せた。すでにスタメンとして定着しつつある中島を筆頭に、矢嶋、蛯名がそれぞれ10得点超えの活躍。
「1年生もチームの力になってきていると感じる」(蛯名)。
これに家治の22得点が加わるなど、慶大は終始中大を圧倒。
最後まで攻撃の手を緩めなかった慶大は、毎ピリオドコンスタントに30得点前後を記録。122―84の大差で快勝した。
「先輩の分まで頑張ろうという強い気持ちで」(矢嶋)。主将の二ノ宮が怪我により出場できない今、1年生の活躍が、後半戦の鍵となってくるかもしれない。
◇中大第2戦第3Q37得点100点超え再び

2連勝でリーグ後半戦の波に乗りたい、中央大との第2戦。
2試合連続となる3桁得点で中大を下した慶大が、リーグ暫定2位タイに浮上した。
「受け身で入ってしまった」(家治)という前半は、44―45と中大が1点リードの展開。
しかし、3Q早々、中島、酒井の連続3Pシュートで攻撃に火が点いた慶大は、このピリオド一挙37得点。
終盤、フルコートディフェンスに切り替えた中大が流れを掴みかけるも、開いた点差を縮める には至らず。109―96で慶大が勝利した。
この日、25得点を挙げた中島は、「慶大の目指すディフェンスからの速攻ができた証拠」と連日の100点超えを振り返った。