中国四川省で大地震が発生した先月12日、慶應義塾大学中国環境研究会のメンバーが成都市に滞在していたことが分かった。現地に滞在していた26名の中には、名誉教授2名、教授1名、学部生1名、大学OB数名の義塾関係者がいたが、負傷者は出ていない。

 中国環境研究会は慶應義塾大学教授ら有志からなるボランティア団体で、活動の一環としてここ数年はパンダのえさとなる竹を植える活動を中国で行ってきた。今回は、5月9日から13日までの活動予定で成都市に滞在していた。

 法学部政治学科の高橋伸夫教授は、講演を行う予定だった西南交通大学で地震に遭った。高橋教授によると、成都市では建物倒壊などの深刻な被害はなかったが、交通や通信は一時完全に麻痺したという。成都空港は国際線、国内線ともに一時運行が休止され、帰国の際に足止めを食らった。地震の影響で北京を経由しなければならず、帰国できたのは予定より三日遅れの16日。「安全確保のため路上で寝泊りする人や余震で逃げ出す身勝手な空港職員がいる一方で、地震の翌日には献血や募金がすでに行われており、そのギャップが印象的だった」と状況を振り返った。

 なお、先月15日には大学ホームページで災害地域出身の学生に向けたお見舞いが発表されたが、義塾広報によると5月末の時点で相談は寄せられていないという。