大学生と税金、納税のすすめ

新入生も新しい環境に慣れたであろう7月。バイトを始めた人も多いだろう。バイトなど学生に関わる税金について、税理士の牛込太一さんに話を聞いた。

バイト代・入学祝いと税金

バイト代にかかる税金は、所得税だ。所得税は暦年(1月1日から12月31日)一年間の間に生じた所得を合計した合計所得金額から、所得控除を引いて算出した課税所得金額に税率を掛けて算出する。所得控除はすべてで15種類。その一つである勤労学生控除は、一定の要件を満たす学生がバイトなどで収入を得た場合に、税率がかかる金額を本来の所得から27万円差し引くことができる。しかし、勤労学生控除を受けると親が扶養控除を受けられなくなり、控除額が減ることで課税所得金額が増え、所得税額が上がる可能性がある。

所得と所得控除、税額のイメージ図

バイトを掛け持ちしている場合は、バイト先の年末調整だけでは手続きが不十分な場合がある。年末調整後、自ら所得税を再計算する確定申告がいる可能性に注意が必要だ。

合格祝いなどが贈与税の基礎控除額である110万円を超えるときは、贈与税を納める必要がある。生活費、教育費支払いのために受け取った財産は課税対象とならないが、その名目で受け取った財産を預金するなどした場合、課税対象となる。香典や贈答品なども、社会通念上相当と認められる範囲、つまり社会一般の常識にかなう範囲では非課税となる。入学祝いにマンションを買ってもらった人がいるというウワサもあるが、このような場合は社会通念上相当と認められないのではないか。数十人から数万円ずつなど、常識的な範囲で合格祝いを受け取り、その合計額が110万円を超えてしまったとしても、申告の必要はないだろう、とのことだ。

光る国税当局の目

現金のまま持っておけば脱税しても税務当局は気づかないという話がある。牛込さんは「そもそも発覚するしない以前に適切な申告を」と前置きし、税務当局のチェック体制から脱税を隠し通すのは難しいとする。税務当局は①過去の申告データなどを管理・分析する国税総合管理システムで異常値を把握、②費用の支払側に資料を提出させ収入側の漏れ把握、③第三者からの告発、④ネット情報の分析―などの手段で調査対象を選定。その後、任意・強制調査で帳簿と実際のカネの動きを突き合わせて脱税を把握する。税務当局には不正を許さない意識、たとえミスでも不適切な申告を指摘・是正する強い意志がある。直近の日大前理事長の脱税事件では、脱税した利益は現金として自宅に保管されていた。

税理士とは

税金にはさまざまな種類があり、計算方法もそれぞれ異なる。税理士の業務は納税額を安くすることではない。非課税要件や特例規定など税務の専門知識を駆使し、適正な申告で過大な納税を防ぐことにある。

最後に、税理士のやりがいについて聞いた。単に数字をまとめ、数字のみに基づいた話をするのが税理士ではない。相続時の遺産分割など、顧客の現況や将来を見据え、より広い範囲で助言をする。時には適切でない事由について税務当局相手でも顧客相手でも意見できる公正な立場で業務を行える。そこに税理士のやりがいがある。税理士を目指す塾生諸君にも、そのような税理士になれればやりがいのある仕事ではないか、と牛込さんは述べた。

(橋本成哉)