安定・地元志向の影響
今年度慶大一般入学試験の志願者最終数が今月5日、義塾公式サイトで発表された。全体数は減少傾向にあり、前年度比では1629人の減少。個別の学部を見ると、法学部や総合政策学部、経済学部B方式での志願者数減少が目立つ。商学部や看護医療学部では志願者数の増加がみられた。(大竹純平)
今年度一般入試の日程は、大学入試センター試験(1月16日、17日)を利用する法学部A方式、薬学部A方式から始まり、3月4日の医学部第2次試験(小論文、面接)で終了する。合格発表は2月10日の薬学部A方式より順次行われる。
今年度一般入試での変更点は、医学部の募集人員増員、経済学部B方式の地理歴史科目変更の2点。医学部の募集人員は、昨年度比2人増の68人に増員された。経済学部B方式では今年度から地理Bでの受験ができなくなり、日本史Bか世界史Bでの受験のみとなった。
志願者数は全体的に減少傾向にある。全体数は昨年度の49889人から1629人の減少の48260人で、昨年度比約3・3%減。この背景には一昨年からの経済不況による受験生の安定志向、地元志向があるようだ。中堅大学や地元の大学に出願する傾向は特に地方の受験生に顕著である。都市部の受験生でも経済的な状況から国公立大学に流れる傾向があるという。
個別の学部に注目すると、志願者数が増加したのは経済学部A方式、商学部、看護医療学部、薬学部A方式。公認会計士、看護師、薬剤師といった具体的な資格獲得を目標にする、経済不況化での受験生の心理が表れているとみられる。また薬学部志願者の増加は、昨年度の志願者数減少の反動ともみることができる。
それに対し志願者数が顕著に減少したのは経済学部B方式、法学部、総合政策学部、薬学部薬学科B方式。法学部は全ての方式の試験で志願者数が減少する結果となった。総合政策学部は昨年度の3550人から380人減の3170人という大きな減少幅となった。
特に法学部の場合、大学入試センター試験を利用するA方式の減少が大きい。A方式は例年、国公立大学との併願による志願者が多数を占めているが、経済不況による受験生の国公立大学志向とそれに伴う志願校の絞込みの影響を大きく受けたことが、志願者数の減少につながったといえそうだ。
全体では志願者数が減少となったが、志願者の志願校絞込みが進んだため難易度自体は例年とほぼ変わらないようだ。