5月に入り、桜の木には若葉があふれるこの頃、新入生もお互いに仲良くなり、就活生は就職活動がいよいよ本格化してくる。

私たちは言葉や会話など、コミュニケーションを通じて自分を表現する。この時に鍵となってくるのは話術スキルや自己表現力である。

そこで、今回は接客アドバイザーとして販売員の指導等を行う平山枝美さんに話を聞いた。

 

平山さんは周りと会話することが初めは苦手だったという。うまく話そうとした時や、面白いことを言おうとした時に、空回りしてしまうことが多かったようだ。

ある日、素直な気持ちが一番大事だと気付いたという。その後は思いついたことをそのまま返答してみたり、疑問を素直に投げ返したりすることを意識していった。

会話中にうまく話がかみ合わず、齟齬が生じてしまうような場合もあるだろう。その時は「やばい」、「エモい」のような曖昧な表現は避け、具体的に、よりかみ砕いて話すことが良いのだとか。平山さんはそれを、実際の例でどういうことか教えてくれた。

例えば、洋服選びのアドバイスをするとき。色の合わせ方についての伝え方を工夫してみる。「明るい色とくすんだ色は合わせない方がいい。くすんだ色は明るい色と一緒だと汚く見えてしまうから。色のトーンを上手に合わせることで、服をより良く見せることができる」。

直感的に「合わない」と言うのではなく、このように理由を詳しく話すことで、イメージや認識が話者の中で共有され、会話を活性化することができるという。

 

会話以外の仕草でも相手に大きな印象を与えることがある。相槌がその典型だ。相槌をしっかり打たないと、話している側は自分の話を相手が聞いているのか、興味関心があるのか不安になる。相槌を打っていれば、相手に自分がしっかり話を聞いているアピールにもなる。

これは就活の際にもあてはまり、しっかり相手の話にうなずいていれば、相手も一緒に働きたいと思ってくれやすいそうだ。また、何かをきっかけに大きなリアクションを取ってみるのも一つの手だという。

同じようなことが表情や視線にもいえる。無表情は相手に自分が何を考えているのかわからない印象を与える。自然な表情や、多少微笑んでいるのがベストだという。視線も話している時は、相手を見据えるのが良いそうだ。

 

人間は生きていく上で、様々な人に出会う。話や返しが上手な人に出会うこともあるだろう。それをマネしてみるのも手だと平山さんは語る。なぜなら、そこには意外と使えるフレーズが多いからだ。

例えば、何かで褒められた時に、自分を上げすぎてしまうのは変だが、下げすぎてしまうと、かえって相手の好意を無駄にしているようにも感じられる。

 

相手がどのようなことを経験してきたのか考え、共感できるようなことを言ってみる。会話がうまくいかない場合でも、沈黙を恐れる必要はないという。

思いついたら話せば良い。そして、様々な人と話して引き出しを作り出せたら、より会話をするのが楽しくなるだろう。

(湯宇都)