〝詰めが甘い〟。試合後、監督・選手がこの言葉を何度口にしただろうか。秋季リーグ戦、優勝できるだけの戦力を保持しながら、三位に甘んじてしまったチームをまさに形容する言葉だろう。

 それはあるデーターから裏打ちできる。1点差負けの数だ。今季慶大5敗のうち四度が一点差負けである。一方、優勝した早大は3敗のうち一度だけなので際立つ。負け方もパターン化していた。打者が後一本打てないか、投手がピンチで粘れないかのどちらかで負けている。そんな今季を最も象徴する試合は慶法二回戦だ。終盤に佐藤翔が逆転3ランを放ち、勝利目前だった。しかし九回に中継ぎ投手が打ち込まれ、逆転サヨナラ負けを喫した。

 スポーツに〝if〟は禁句だが、もしこの試合に勝っていれば、流れは変わり、明治戦でのふがいない連敗で、優勝戦線から離脱するようなこともなかっただろう。

 そんな中、完全優勝を目指した早大相手に勝ち点を奪ったことは「優勝に等しい」(相場監督)のように評価できよう。『来季こそは優勝』。チーム関係者、ファンの総意だろう。そのためにも課題は、岡崎、金森宏が卒業で必要に迫られる『センターライン』の強化と佐藤翔の前後を打つ打者の育成。さらに 今季のように投打の歯車が今ひとつかみ合わない状況から脱し、『勝ちきれるチーム』を作ることだ。

 しかし、課題と同時にまた収穫も多いシーズンでもあった。野手では秋季より四番に座り、打率・318、4本塁打でベストナインとついに覚醒した佐藤翔。さらに投手は東大戦から先発を任され安定感のある投球を見せてくれた相澤。絶対的なエース加藤と二人で形成される先発陣に来季死角はない。欲を言えば中継ぎに安定感のある投手が左右一人ずつでも出てきたら投手陣に関しては磐石であろう。

 打倒早稲田、打倒法政に向け、春まで〝まだ時間がある〟ではない。〝春までしか〟時間はないのだ。

(星野佑太郎)