新しい「教師」のカタチ Teach For Japan

「教師」というとどんなイメージをお持ちだろうか。教員免許を持たずとも、教育現場にインパクトを起こせる人材育成に励む団体がある。「認定NPO法人Teach For Japan」(通称TFJ)だ。当団体は、教育に対して問題意識を持つ人材を選抜し、自治体と連携して支援する。選抜後は研修を経て、公立の小中学校などの教育現場に「フェロー」として2年間派遣される。現在、福岡県飯塚市に派遣されている増永純女さんに話を聞いた。
 
増永さんは慶大SFCを卒業し就職したが、「お金で教育をしたいわけではない」と葛藤していた。教員免許もなく、はじめの一歩を踏み出せなかった彼女の背中を押したのが、TFJの存在だった。
 
彼女の中で、教育の柱は「表現すること」だ。違和感を覚えていたのは、多くの生徒が自らの意見を言わない日本の授業の雰囲気だった。そんな中、米国で行われている「ヤングアメリカンズ」に興味を持った。これは短期間で音楽やダンスのショーを作るワークショップだ。   
 
彼女はTFJでの活動を通じて、「ヤングアメリカンズ」を日本の公教育に取り入れるべく尽力している。海外から財源を確保し、人材を集め、派遣先の小学校で授業として取り入れてもらえるよう行動した。来年度も、市の予算で開催されることが決定している。
 
教員免許を持たないゆえ、周囲の教員にきつい言葉をかけられたこともある。苦労は絶えないが、子供たちの笑顔や、元気に活動する姿を見るのが何よりのエネルギー源であるという増永さん。「社会と教育現場のパイプになりたい。将来的にどの仕事を選んでも、教育現場に携わった経験は必ず活かせる」と健気に語った。
 
また、このような人材の誕生には「キャンパスアンバサダー」として各大学で広報活動を行う学生の存在も欠かせない。慶大生の田中里央菜さん(経3)は、「ファーストキャリアとして教師を選ばずとも、教育現場に参入し、インパクトを起こすことはできる。大学生に興味を持ってほしい」と語る。多様な「教師」の在り方を可能にしたTFJの取り組みに注目である。
(下村文乃)