7月2日、東京の街では都議会議員選挙の投票に向かう人が多く見られた。18歳以上の男女に選挙権が与えられてから1年が過ぎたが、中には今回初めて投票に行った塾生もいたことだろう。ここで改めて、18歳選挙を見直すことにした。
 
選挙権に関して定めた公職選挙法が改正されたのは、昨年6月のことである。これにより現在、大学生はみな選挙権を持ち、投票が可能になった。「海外では18歳が標準的な選挙年齢で、18歳選挙を日本で実施しても必ずしも年齢が低いとは言えない」、そう語るのは慶大法学部教授・小山剛氏だ。
 
大学生だけではなく、高校生も選挙権を持ち始めた。そのため、高校生に対する公民教育をどのように図るかが問題の一つとなる。氏によると、「選挙は普段の問題意識の延長であり、日頃の教育体系が重要となる。選挙の直前になって、詰込み教育を行うのは本末転倒だ」という。
 
問題はこれだけではない。大学生でも進学のため地元を離れることで投票に行けない人が多い。実際、昨年の参議院選挙において、「投票に行った」と答えたのは、自宅生が75・2%であったのに対して、下宿生では31.5%であった(全国大学生活協同組合連合会、第52回学生生活実態調査)。期日前選挙の有効活用、郵送による投票の導入を考えてもよいのではないか、と氏は述べる。
 
若い世代が選挙に対する意識を保つにはどうすればいいのだろうか。氏は、何もしないのが最もよくないという。新聞やテレビを通して普段から社会問題に関心をもち、それを基に自分で考える癖をつけることが大切だ、と強調した。
 
また、意外にも重要になってくるのがSNSの存在だ。SNSを通して、他人の意見を知り、自分の意見を発信するのは、若者の選挙に対する意識を保つのに大きな役割を果たすかもしれない。
 
さらに、氏は被選挙権についても挙げる。現在日本では被選挙権が最低でも満25歳以上であるが、仮に被選挙権の年齢が選挙権の年齢と同じになれば、我々の政治に対する関心も高まるかもしれない。

最後に小山氏から塾生にメッセージ、「世界の18歳はもっとしっかりしているぞ」
(曽根智貴)