空中の格闘技 セパタクロー

高く跳び上がって、くるりと回転。足から放たれる強烈なアタック。そのスピード、迫力、ダイナミックな動きに思わずくぎ付けになった。空中の格闘技ともいわれるセパタクローは、9世紀から伝わる東南アジアの伝統スポーツだ。セパタクローの「セパ」はマレー語で「蹴る」、「タクロー」はタイ語で「ボール」を指す。慶大のセパタクロークラブのメンバーにこの未知なるスポーツに隠された魅力を聞いた。

イメージは「足でするバレーボール」だ。三人一組でプレーし、それぞれトサー、サーバー、アタッカーという役割がある。守備位置のローテーションはなく、コートとネットはバドミントンと同じ広さ、高さだ。手と腕以外を使って3回以内に相手コートにボールを返せばよく、一人続けて3回ボールにタッチすることもできる。ボールはプラスチック製で、小さく、堅い。メンバーにはサッカー経験者が多いが、「蹴る」ではなく「持ち上げる」というように、ボールの扱いには繊細さが求められる。

最大の特徴はサーバーが、他のプレーヤーにボールを投げてもらってサーブを蹴ることだ。自分であげることができない分、不安定になる難しさがある。また、トスは上にボールを蹴っているだけに見えるが、重要な役割を担っている。高さや回転などを調整し次のアタックを操っているのだ。日本人には馴染みがなく、とっつきにくいと思われがちだが非常に奥の深い競技だ。




「新しいスポーツをしてみたかった」「アクロバティックな動きに魅せられた」「マイナースポーツを盛り上げていきたいと思った」など始めたきっかけは人それぞれ。大学から競技を始めたという方がほとんどだが、クラブには日本代表育成選手もいる。スタートラインが同じだからこそ、練習した分だけ上達できるのが魅力だという。

セパタクロークラブは日本代表を輩出し、チームとしては全国優勝の経験もある。伝統的にミスをしないチームカラーで、レシーブ練習に時間を割いている。身体能力の高い人が集まる体育大学のチームと戦うためには頭を使った戦略が不可欠だ。体育会ではないため練習環境は決して良いとは言えないが、サークルだからこそ身につく能力もある。自分たちで練習場所を確保したり動画を撮って、分析したりと主体的に考え動くことが求められる。

1990年からアジア大会の正式種目となり、今年はヨーロッパで初めて大会も開催された。近年は女子種目も発展している。日本での競技人口は約3000人だが、最近はCMへの起用や、定期的なイベントの開催などを通してセパタクローの認知度は上がりつつある。 

何か新しいことを始めたい人、今から日本代表を目指したい人、アクロバティックな動きが気になるという人は、ぜひ一度セパタクロークラブの練習をのぞいて圧巻の迫力を肌で感じてほしい。
(反保真優)