存在を知ることから 難民かけはしプロジェクト

2月28日、東京マラソン開催の日。青空のもと一丸となって走る7人の学生たちがいた。この学生たちは、学生団体「難民かけはしプロジェクト」のメンバーである。

「難民かけはしプロジェクト」は、難民という背景を持つ学生と難民問題に関心のある学生が、ともに東京マラソン完走に挑戦する団体で、2‌0‌1‌5年4月、たった3人のメンバーから始まった。スポーツを通じて社会貢献を目指す金井健司さん(代表・東大3年)、難民問題啓発に関心を持つ周防佳汀子さん(代表・東大3年)、東京マラソンチャリティを盛り上げたいとの思いがあった山崎功乃祐さん(副代表・早大2年)の3人が国連UNHCR協会のインターンで出会い、団体設立へとつながった。最初はメンバーが少なく、友達づてで必死に集めたというが、今では約40名に及ぶ大きな学生団体である。 

普段の主な活動内容は、東京マラソンへ出場することを見据えた、週1回のミーティングと月2回のトレーニングである。その他にもオンライン上での広報活動や、一般の人でも参加できるようなイベントも開催している。

このような活動を通して世間に伝えていきたいことは何だろうか。副代表の宮鍋誠さん(早大2年)に話を聞いた。



「まずは日本にも難民がいるという事実を知ってほしい」。現在、シリアの問題がニュースで取り上げられているため、難民の存在は知っていても、どこかで日本とは関係のないことだという人も多い。宮鍋さん自身もこの団体に入った当初は、難民は「着の身着のまま逃げてきた可哀想な人」といったような固定概念を持っていた。しかし、実際に彼らと会ってみると日本語を普通に話せる人もいる。どの人も気さくな人柄で、接していくうちに、「確かにこの人は難民だけど、自分と変わらない、同じ人間なんだ」感じた。難民問題は自分と関係のないことではない、というメッセージを他の人にも伝えるために、この活動を続けているという。

団体のメンバーの方のお話を聞く中で、仲の良さもうかがえる。東京マラソンで走った7人のメンバーの一人で、塾生でもある杉本佳那さん(文3)は、「プロジェクトの中で和気あいあいとした雰囲気が楽しく、辛いトレーニングの中で支えになっていた」と話す。また難民という背景を持ち、東京マラソンを走った関西学院大学のアンさん(インドシナ難民2世)は、このプロジェクトを通じて自分と同じ境遇の子供たちに「努力は必ず報われるんだよ」ということを伝えたいという。

団体として、今年度の活動の中では難民と一般の人が交流するイベントを2回しか開催することができなかったため、今後の目標は、イベントを数多く開催することで、もっと難民の方々を身近に感じてもらうことだという。

副代表を務める宮鍋さん
副代表を務める宮鍋さん
難民問題を身近なものにしていきたいという活動はさらに広がっている。先月12日、「難民かけはしプロジェクト」を含め、難民問題に取り組む11団体が集まるイベント「つなぐ ~学生と難民の関わりについて考える~」が行われた。塾生の団体である「Calin」「S・A・L」も参加し、イベントを主催する学生団体「J-FUNユース」「SHRET」を中心に、学生の活発なディスカッションが行われた。 




ディスカッションでは、「学生と難民の関わりについて考える」をテーマに、グループに分かれて様々な意見が出された。例えば、難民の人々はまず自分たちのことを知ってもらうことを望んでいること、料理や音楽、マンガに難民を融合させたイベントを開くことなどほかにも色々な視点からの意見があった。

どの団体も、難民問題を一般の人にもっと広めたい、という信念のもと活動している。身近な学生団体を通して、難民の存在をより近くに感じ、問題を考えてみてはいかがだろう。
(竹田桃花)

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