東京六大学リーグレポート~新たな戦略を求めて――インカレへの挑戦

11月3日 vs東京大学 ○ 104―55、vs法政大学 ○ 90―87
11月9日 vs立教大学 ○ 92―83、vs早稲田大学 ● 77―93
11月16日 vs明治大学 ○ 103―83

 慶大バスケ部が1部復帰を果たした関東リーグとインカレの間に行われる六大学リーグは、バックアップの選手一人ひとりの実力が問われる大会となった。

 佐々木HCが「六大学リーグでは『新戦力を探す』ことが目標」と言うように、東大戦と立大戦は、慶大Bチームの選手たちが活躍した。六大学リーグでは、バックアップの選手一人ひとりの成長を確認することが出来た。法大戦と早大戦では主要6人以外のバックアップのメンバーが出場した。明大戦では主要メンバーも出場し、今シーズン初めて明大に勝利した。初優勝という好結果ではあったが、選手一人ひとりに課題はある。

新戦力の発掘

 バックアップの選手で活躍していたのは、#19金子(1年・春日部)、#20春本(1年・春日部)、#21松谷(1年・福岡大附大濠)の1年生であった。金子はガードとしての速いプレーが目立っていた。#16二ノ宮(2年・京北)にはまだまだ追いつかないものの、今後二ノ宮の代わりになる選手としての見込みは十分にあるのではないだろうか。金子自身、「もっとスタミナをつけたい」と今後の課題として語ってくれた。

 春本は、今まで充電してきた分が一気に爆発したかのように安定した好プレーを見せた。「インカレでは春本を使わないとまずいね」と佐々木HCが言うほどであった。しかし、早大戦での捻挫で十分に練習が出来ていないという。春本の活躍をインカレでみられるかどうか、不安が残るところだ。

 松谷は関東リーグから安定したプレーを見せている。六大学リーグでも松谷の活躍が大きかった。見ている側も落ち着いて松谷のプレーを見ることが出来た。松谷に関しては、来年からも信頼できる戦力なのではないかと思う。

 関東リーグから注目していた#23原田(1年・岡崎城西)だが、期待されている仕事を出来ていなかった。しかし、原田はこの六大学リーグで成長。今まで攻める姿勢を見せてこなかったが、明大戦では意欲的なプレーを見せた。佐々木HCも「原田は、あと2週間の練習でがんばってくれれば、インカレの戦力として使えるんじゃないかな」と話す。

 もう一人の注目株は3年の#9神田智(3年・慶應義塾)である。神田について、「練習で相当頑張っている」と佐々木HCも関東リーグから認めているほどだ。六大学リーグでも活躍を見せていたが課題もある。「試合前に『この試合はスターターは出ない』と言うと活発にプレー出来るけど、主力の6人が出ると消極的になっちゃう」(佐々木HC)。以前、このサイトでも取り上げたことがあるが、関東リーグから注目し続けている神田智。インカレで本物の戦力となることを期待したい。

 インカレは2008年度慶大バスケ部の集大成となる大会である。この1年間、慶大バスケ部を追い続けてきた私にとっても、今年度の節目になるに違いない。慶大の実力を発揮できるか否か。そして、新しい戦力が花開くかどうか、初戦を1週間後に控えた今、楽しみでならない。

ここまでの文 阪本梨紗子
最後のインカレに臨む4年生たち。

 六大学リーグが終わり、残った主要大会は実質インカレのみとなった。慶大のみならず全てのチームにとって、泣いても笑ってもこれが最後にして最大の舞台である。

 勝つために必要なことは何か――。

学生スポーツ全般に言えることだが、重要なのは4年生の力である。前述の六大学リーグのレポートでは主に1年生でバックアップメンバーになりうる選手について取り上げられているが、昨年優勝の青学大然り、一昨年の決勝で慶大を破って優勝した東海大然り、最後に勝つチームには必ず、精神的にも実力的にもチームの核となる4年生が存在する。それは今年も変わらないだろう。ならば慶大は――?

 他大学と比較すると、どうしても不安が大きくなる。常に試合に出られるのがキャプテンの#4鈴木だけなのは、春から変わっていない。

「でも他の4年はよくやってくれていると思います。(六大学リーグでの)立教とか東大の試合の時とかも、良い活躍をしてた選手が多かったので、成果がああいう形で出たのは感動的だった、みんな頑張ってます」

 #4鈴木は、微塵の曇りも無い表情でそう言った。ともに4年間頑張ってきた仲間だから分かるし、信頼出来る。その証拠が練習にも出ている。練習で先頭を全速力で走るのは、いつも4年生だ。

「4年生として、もちろん副将としても、うちらが率先して声を出したりして、練習中から決して妥協しない姿勢を見せていました。4年生は皆そうですけどね」(#5竹内、4年・福岡第一、入れ替え戦終了直後のコメント)

「練習で出来るのは声を出したりとか……例えば3メンも全速力でやってコートの端から端まで走るとか、他の選手があんまりやってないことをメリハリをつけて、厳しくてもやる、っていうことを意識してます。テンションをあげたい時に声を出してチームを鼓舞するっていうことを出来るように」(#6青砥、4年・松江東、リーグ第1週国士館大第1戦終了直後のコメント)

 その練習をまとめるのは、これもまた4年生の岩井学生コーチである。その目は、すでにインカレを見据えている。

「学生コーチという役割は難しい面もありますけど、佐々木先生との兼ね合いが大きいので、そことの関係をまず築いて、あとはチームがうまく回るように。その辺のサポートが選手と違っているところですね。インカレは早稲田にしっかり勝って、最終的には青学を倒したいってところですね」

 4年生がチームに残るのも、正月のオールジャパン(インカレでベスト8以上なら出場出来る)を含めてあと2か月。現在のチームがスタートした時、このチームが掲げたスローガンは「勝利至上」だった。そして、3つの目標が定まった。早慶戦勝利、1部昇格、インカレ優勝。このうち2つを達成し、残るターゲットは1つだけである。
 わずかな時間の中で4年生は意地を見せ、万感の引退を迎えられるか。

(2008年11月26日更新)

文・写真 羽原隆森
取材 羽原隆森、阪本梨紗子