慶應塾生新聞会 三田オフィス
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野球部・大久保監督 神宮が選手を育てる

2014年春季リーグを最後に、優勝から遠ざかる慶大野球部。雪辱に燃えるのは選手だけではない。
 
野球部の大久保秀昭監督は、今季、就任3年目を迎える。慶大野球部在部時にはキャプテンを務め、チームを春秋リーグ連覇に導いた。その後は、社会人野球、プロ野球を経験し、アトランタ五輪では日本代表の正捕手として活躍、銀メダルを獲得した。
 
数々の大舞台を踏み、栄冠を手にしてきたからこそ、選手にも同じ歓喜の瞬間を味わってほしいとの思いが強い。「選手は皆、自分の代で優勝したいという願いを持っている。そこに少しでも近づけるよう協力するのが監督の役割」と語る。
 
大久保監督は選手に日頃からあることを自問するよう促している。それは、「神宮に立つにふさわしい選手であるか」ということだ。「慶大に入った彼らの努力は素晴らしいけれど、偉いのは彼らじゃない。先輩たちが築いてきた歴史があって、認知されている。そこを勘違いするなということですね」
 
神宮の芝でプレーすることは出発点であり、そこで経験を積み、100%以上の力を発揮できるようになって初めて評価される。選手には、自分の置かれている位置から目を逸らさぬよう説く。
 
昨季の主力選手の多くが引退し、今年は個々の力ではなく「チーム力」で戦う。「チームの穴はチームで埋める。一球一打に必死になってプレーしますので、球場へ見に来てください」
 
今はただ、優勝しか見えていない。
(広瀬航太郎)

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慶大野球部は、昨季、リーグ戦2位まで登りつめながらも、1位・明大との差は歴然としている。そんな中、昨秋の新人戦では、法大が投打に圧倒して優勝。六大学野球は、早くも大混戦の様相だ。それぞれが力をつける六大学の中で頭一つ抜け出すには、何が必要か。野球部の大久保秀昭監督に聞いた。

―キャンプを終えて、新チームの雰囲気は。
 
皆、体力的にも精神的にも、1学年上がるごとに成長している。下級生は本当に活気があって、これからがとても楽しみ。上級生を追いやるくらいの勢いがありますし、その結果が新人戦にも出ていますよね。

―新キャプテン・照屋選手はどのような選手ですか。
 
一言で言うと、おとなしい選手。でも、内に秘めたる思いはしっかりとあって、チームメイトからの信頼も厚い。内野の要である二遊間を守るので、チームでも要として引っ張っていってほしいです。

―エース・加藤投手が抜けた後の穴をどう埋めていきますか。
 
これは誰がというよりも、今いるメンバーで繋いで、目一杯埋めていく。今年は、チーム力で戦っていきます。
 
あとは、経験値を上げること。オープン戦を含め、神宮のマウンドで声援を受けながら、どれくらい力が発揮できるかを試す必要がありますね。

―昨秋、急成長を見せた郡司選手に、今季期待することは。
 
昨年の秋季リーグでは、加藤以外のピッチャーでも防御率を2点台に抑えたのは評価できる。今年は、タイプも様々な投手の良さを、郡司が120%引き出せなければ、優勝はないと思います。キャッチャーにとっては、最高にやりがいのある年になるのではないでしょうか。

―今年度の新人選手の印象は。
 
大西(北海)は、昨年の甲子園準優勝投手。大舞台を経験しているという点では、他大の選手に引けをとらないと思います。
 
捕手の植田(高松商)は、大学生のスピードと比較すると、まだこれから。ただ、雰囲気はしっかりしている。キャッチャーの層が厚くなったのは心強いです。

―新人選手をどう育てていきたいですか。
 
1年目から酷使すると怪我にもつながりやすいので、慎重に起用したいと思います。ただ、今年から、新人戦が「フレッシュリーグ」として総当たりで行われるので、そこでまずは一人でも多くの選手に神宮の舞台を経験させます。1年目から大ブレイクする選手も当然いますので、それだけの能力があるかをフレッシュリーグで見極めたいと思います。

―昨年の秋季新人戦では、法大がリーグ戦と同様のメンバーをスタメンで並べてきました。法大で警戒したい選手は。
 
エース格の菅野選手と、経験値がある熊谷選手。バッターでは、4番を打つ中山選手。いかに中山選手の打席にランナーを出さないかが鍵となります。
 
新人選手で言えば、法大とうちは、経験値・素質において10対0くらいの差がある。普通にリーグ戦を戦ったら、この通りの結果になるでしょう。甲子園を経験したスーパーエリートに対して、うちは必死に食い下がるのみ。彼らと良い勝負ができるレベルには、采配で引き上げていきます。

―優勝を目指す上で、ポイントとなるのは。
 
左投手対策ですね。特に早大の二山投手は、左で小気味よく投げる印象がある。どのチームに対しても、左投手を打てなければ苦戦を強いられるのではないでしょうか。

―今年の早大をどう見ますか。
 
まさに左腕王国。合わせて20勝以上の実績のある投手がそろっている。彼らを攻略できなければ、勝ち点は挙げられないと思います。

―求める選手像とは。
 
理想は、監督が何もしなくても勝てるチーム。選手には、試合・練習のいずれにおいても、「最近、慶應ってスマートに見えるけど、一番泥臭くやっているよね」と言われるような、自ら考え行動に移す取り組み方を求めます。現実には、監督が何もしなかったら最下位ですね(笑)。まだそうはさせてくれないという状況です。

神宮球場で野球ができる彼らは本当に恵まれていますよね。神宮に立つにふさわしいのかどうかということは、選手に対して常々問いかけています。

―塾生、六大学野球のファンに注目してもらいたいところは。
 
チーム力、チームワークです。諦めずに、一球一打に必死になってプレーしますので、その姿を見に球場へ来てほしいと思います。

(聞き手=広瀬航太郎)