【500号Project 伝‐慶應の足跡‐】ニッポン放送プロデューサー 節丸雅矛氏

あなたは「伝」という漢字に何を思うだろうか。伝達、伝説、伝統…。今年7月に迎える塾生新聞500号を記念して、「伝」をテーマに社会で活躍されている慶應義塾と所縁のある人物に焦点を当てていく。6回目は、数々のラジオ番組を手掛けてきた、ニッポン放送プロデューサーの節丸雅矛氏だ。

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1965年生まれ。ニッポン放送で深夜番組「オールナイトニッポン」に長く関わり、松任谷由実、福山雅治、吉井和哉、ポルノグラフィティ、ゆず、ロンドンブーツ1号2号、X JAPANのhide、小室哲哉などの番組を担当。また番組のみならず、ライブイベント、映像制作、出版、音楽などのコンテンツプロデュースなども数多く手がけている。 現在は株式会社エル・ファクトリー制作本部長兼第一制作部長。

主観と客観二つの視点で時代見る

小さいころからジャズが好きだったという。塾生時代はサックス奏者として、ライトミュージックソサエティに所属。就活の時期になっても希望進路は特になく、卒業後は漠然とプロミュージシャンになると思っていたという。しかし、試しに受けてみたニッポン放送に内定をもらい、ラジオの世界へ。

入社したばかりのAD時代には、番組中にカップルの前でサックスを吹かされるなど、いわゆる「無茶ぶり」を受けた。「学生時代に積み上げたプライドが壊されていった」が、「いろいろなことを吸収して成長できた時期だった」と節丸氏は当時を振り返る。また、ダジャレやネタを考えることが仕事になるのが衝撃だったそうだ。でも、それを楽しんでやれたことが今もこの仕事を続けられている理由だ。

これまで、数々のラジオ番組で企画を作ってきた節丸氏。企画を思いつき、伝えるコツとしては「今日、今しかできないことをやること」、「主観的であることと客観的であること」が大事だと語る。前者については、企画は古くなっていくもの。その日の気分を大切にすることで、今しかできない企画を作っていけると述べる。また後者については、それが面白いと思う主観的な目と本当に面白いかどうかを分析する客観的な目の両方を持っていないと、その企画が時代に合っているかどうかの判断ができない。面白いと思う自分がいてなおかつ人がどう思うかを考えることも大切だと話す。

自身の番組制作のモットーについて伺うと、「みんなが信用しているものを疑い、自分の直観や疑問に忠実になること」が重要だという。現在は報道番組の制作にも携わっているという節丸氏だが、当初は「報道というありのままの事実を伝える報道番組が面白くなかったし面白くできなかった」という。しかし世の中の情報の半分以上は発表されたもの。発表する側にとって都合のいい情報しか流れてこない。だからそういった情報を疑い始め、それに気づいてから、報道が面白くなっていったと語る。

近年ささやかれている、「若者のラジオ離れ」については、「世間で言われているほどラジオ離れが進んでいるとは思わない」と自身の考えを述べた。ラジカセのような、ラジオを聴くためのデバイスは確かに減って、そういう意味でのラジオ離れは起きたかもしれない。しかし、音声コンテンツとしてのラジオは若い人たちに普及している。スマホやPCでYouTubeやradikoを通して聴かれているからだそうだ。

最後に、塾生に向けて、「やりたいことをやってほしい。いろんな知識を吸収して、大学にいるうちに自分の進む方向を決めたほうがいい。その進む道が自分にとって近道だったり、回り道であったとしてもいいから」と力強いメッセージを送った。 (木下俊亮)


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