科学研究に遊び心を

先月19日、日吉キャンパスで第50回人間教育講座「アメーバとヒトのあいだ―生命知の起源とイグノーベル賞―」が開催された。本年度4回目となった今回の講座では、北海道大学教授でイグノーベル賞を2回受賞した中垣俊之氏が講演した。

イグノーベル賞とは「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる賞。中垣氏はアメーバ型生物である「粘菌」が餌と餌との最短経路を結ぶ性質を利用し、日本の主要都市を「粘菌」がどう結ぶのかを実験し、最適な交通経路を発表。その研究のユニークさが評価され、受賞した。

中垣氏は「科学研究において大事なことは2つ。遊び心と、科学を面白いと思うこと」と強調した。講演では「生真面目に研究に没頭し、遊び心を持たない者は、自分の足元にある発見の芽に気が付けない」と話し、視野を広くすることで、誰も気がつかない発見ができるとした。一方で「科学は知的なエンターテインメント。知的感受性を高めることで世界が違った景色に見える。」と語り、知的好奇心の重要性を示した。講演の最後では、ユーモアに満ちたイグノーベル賞授賞式の逸話なども話し、聴衆の笑いを誘った。