「第183回福澤先生誕生記念会」が1月10日、三田キャンパス西校舎ホールで開催された。この会は慶應義塾創立者である福澤諭吉の誕生日を祝うもので、毎年開催され、今年も多くの塾員、塾生、保護者などが参加した。

はじめに幼稚舎生とワグネル・ソサィエティーによる合唱、続く年頭挨拶では、長谷山彰塾長が登壇した。長谷山塾長は、慶應義塾規約の「義塾は教育を目的とする」という記述を挙げ、人材育成を使命として、その伝統を今日まで守っている慶應義塾の誇りがこめられていると語った。その上で、総合大学でありながら、産業界、スポーツ界、芸術界など、幅広い分野に人材を送り出してきたことは慶應義塾の特色であると述べた。また、義塾の学術、体育奨励の基盤を支える基金を充実させることや、研究発信の拠点として慶應義塾の得意とするI‌T技術をふんだんに用いた、デジタルとアナログを融合した新しいタイプの博物館を創設するなどの取り組みを発表した。慶應義塾らしさを失わずに更に発展するために、社中の協力と理解を求めた。

記念講演では、近代日本ジャーナリズム史やメディア史の権威である研究者・有山輝雄氏による「国際ニュース報道と『時事新報』」と題した講演が行われた。有山氏によると、福澤先生は人間が移動せずに情報交換出来る電信を画期的と見抜き、電信と同時に重要となる情報を作る社会組織作りに取り組んだという。近代の国際情報の仕組みなど、情報がさまざまな厳しい制約を受けていたという歴史を考えて時事新報のニュースを見ると面白いと述べた。

続いて「第42回小泉信三賞全国高校生小論文コンテスト」の表彰が行われた。受賞したのは、日出学園高等学校2年の石橋真里奈さん。受賞者には塾長から賞状および記念品が贈呈された。同会の最後には、参加者で塾歌を斉唱し、閉会した。