学生部就職・進路支援担当によると、昨年度慶大学部卒業者・修士修了者8147人のうち就職者は5462人で69・2%、院進学者は1232人で15・6%となった。就職率は一昨年度の 66・8%と比べ、2・4%の増加。大学院および大学進学率は一昨年度の18・6%より3・4%の減少となった。(データは3月31日のもの。就職率・進学率ともに進路未報告者を除いた数値)       (川井田慧美)

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昨年度の就職状況は全般的に堅調である様子。慶大学部卒業者・修士修了者8147人のうち、69・2%が就職した。就職状況の改善が見られた一昨年度(66・8%)よりもわずかに好転した。
就職者の半数以上である2872人が、3人以上の慶大生を採用するほどの規模の企業に就職した。これは一昨年度比155人の増加。
就職先業界は例年と比べ特に動きはなく、上位から順に製造業、金融・保険業、情報通信業で、割合はそれぞれ17%、14%、11%である。
就職先企業上位20社(表参照)を見ると、顔ぶれは例年通りでほぼ変化がない。金融・保険業が大半を占めているのが例年の特徴である。昨年度は1位と2位が一昨年度と入れ替わった。
昨年度大学卒業者は東日本大震災による影響を最も直接的に受けた。いくつかの企業では、採用人数が減少したり面接等のスケジュールの日程が例年より遅れたりなどの変更があった。震災に加え、商社業界の採用後ろ倒しがあり、就職活動が不透明になり、長期化した。
しかし、結果的には就職者数は増加し、全般的に堅調な就職活動の成果が出ている。「昨年度の就職活動者は、企業の情報をしっかりと収集・把握し、自ら考えて適切に、粘り強く行動することができた。そのため震災の影響があってもそれに適応することができたのだと考えられる」と学生部就職・進路支援担当の佐藤吾郎氏は話す。
企業が期待する学生の資質はコミュニケーション能力のほか、自主性や積極性だという。「自分の頭を使って考えて自ら行動を起こすことが求められる。さらに、慶大生には問題解決能力やリーダーシップが特に期待されている」と佐藤氏はしている。
慶大の卒業生について企業から実際に評価されている点については、「スマートさや知的な素養、分け隔てなく誰とでもコミュニケーションを取れる」といった点を挙げた。
また、今年度の就職活動者へのアドバイスとして、視野を広く持ち、自分の可能性を狭めないことを述べた。「最初からこれをやりたいと強くこだわり過ぎたり、大企業や特定の業界に偏って固執したりするのはあまり良いことではない。自ら進んで広く情報収集を行い、積極的かつ自主的に行動することが必要」と語った。