2017年7月23日

慶應塾生新聞会 三田オフィス
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大学生自ら学習支援を とどろき教室・よこはま教室

学生の積極的な参加を呼びかける鈴木氏
学生の積極的な参加を呼びかける鈴木氏

東日本大震災から早一年が経つ。時の流れとともに被災地は復興へと着実に歩みを進めている。しかし故郷を離れて都心へ避難する子供たちは依然として多い。そして彼らは都心での進学を決めておのおの受験を迎えようとしている。

そうした中、避難してきた子供たちに学習の場を提供する活動がある。大学生を中心にボランティアで運営されている、小杉こども文化センターと横浜市西区社会福祉協議会で開かれている「とどろき学習室」と「よこはま学習室」だ。

学習室では宿題や受験勉強の補助をマンツーマンで指導している。同時に子どもたちと年の近い大学生が、彼らの話を聞いてあげるという心のケアも兼ねている。また、勉強の環境づくりだけではなくクリスマス会などのアクティビティも随時企画。指導者の指示を待つ受動的なボランティアではなく、大学生が自分の頭で考えて主体的に運営に取り組む積極的な活動である。

また、無理のない持続可能なボランティア活動を目指して学生たちは自分のペースを守って参加している。「実際に子たちと触れ合うという直接の支援であり、大学生が平常の生活を送りながら活動できる」と慶應義塾大学メディアデザイン研究所リサーチャーで代表の鈴木健大氏は言う。

活動に参加する慶大生の一人、和田有紗さん(商2)も「当初はとにかく無理をしてでも参加したいという気持ちが強かった。しかし、この先も続いていく問題なので、コンスタントに活動していくことが大切だと分かった。」と述べる。

そしてなにより、大学生だからこそできる活動だという強みもある。子どもたちの不安定な気持ちを自然に受け止めてあげられるのは専門家ではなくごく普通の大学生であるという。子供たちが自ら相談をし、SOSを出せる場にすることを鈴木氏は当初から意図していたそうだ。

慶大商学部の牛島利明教授が開くゼミナールもこの活動を支援している。牛島ゼミのゼミ代表を務め、自身も活動に参加している山田将太郎さん(商3)はこう語る。「震災に対するリアルは子供たちが教えてくれた。震災を忘れないためにも子供たちをサポートしていきたい」

子どもたちは時に辛辣な想いを学生たちにぶつける。そのため、心のケアにあたる際は子供たちの気持ちをできる限り受け止めるが、専門家のケアが必要な場合は市などにバックアップを頼むことにしているという。胸の内に想いを抱えていられなくなった時の信号を見つけてあげることができればいいと鈴木氏は言う。

活動は東北地方とも連携しており、学習室で図書カードを集め現地に送ったりなどもしている。また神奈川ユニセフ協会や横浜YMCA等と連携し、神奈川県内避難者を対象にしたネットワークによる支援も始まった。

被災地のみに目が向けられがちだが、避難先への支援にも引き続き注目が必要だ。最近はボランティア活動でも、指示通りに作業をこなすだけという受動的な参加者が目立つ。そうではなく参加者が主体的にコミットできる活動に、自ら関わっていきたい。

(片岡航一)

教室の詳細はhttp://g-edu.kmd.keio.ac.jp/todoroki_school/index.htmlまで。