慶應塾生新聞会 三田オフィス
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ゼミって?

ゼミの三田祭発表には多くの人々が集まる
ゼミの三田祭発表には多くの人々が集まる
塾生新聞会は今月10日、慶應義塾・南三陸支援プロジェクトと共同で「南三陸 これからの復興支援を考える」を主催する。第2部のパネルディスカッションでは復興支援について議論する予定だ。イベントに先立ち、パネリストの一人である前宮城県知事で総合政策学部教授の浅野史郎氏にお話を伺った。
(花田亮輔)
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「必ず戻ってくる」。2009年6月2日、自身の担当講義で浅野氏はそう学生に話し、休職した。成人T細胞白血病(ATL)の治療に専念するためだった。
ATLはウイルスが原因のがん。治療が困難な難病だ。しかし浅野氏は「病気になって新しいミッションを与えられたような気がした」と振り返る。「ATLは情報が少ない。どんどん新しい治療法が出てきているのに、医療現場でも古い情報しか知らない人がいる。私自身が回復し治療の体験を伝えることで、同じような病気の人々の力になれるのではないかと前向きに考えた」
幸い骨髄移植に成功し昨年2月に退院。自宅療養を続け、前述の言葉通り今年度から大学への復帰を果たした。しかし依然として免疫力などは十分に回復していない。授業以外の活動については今後慎重に様子を見ながら解禁していくという。
現在SFCでは週一度、地方自治論などの講義を担当。学生に双方向の議論を推奨し、時に地方議員をはじめとする多彩なゲストを招くなど授業の工夫に余念がない。「政治の最大の敵は無関心。学生には授業を通じて従来の『お任せ民主主義』から脱却し、自ら考え行動する市民になってもらいたい」。その言葉には自然と強い力がこもる。
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今年3月に発生した東日本大震災。最も被害が甚大であったのは、自身がかつて知事を務めた宮城県を中心とする東北地域であった。
「病気になって多くの方から励ましをいただいたが、『必ず病気に打ち勝つ』という『根拠なき成功への確信』に救われた面は大きい。だから私も被災地に『必ず復興する』という言葉を伝えたい」と語る浅野氏。その上で復興が日本の地方自治を変えるある種のチャンスだと主張する。「新しいまちづくりの設計図を書くべきは国でなく、基本的に地域の住民。復興の過程で、住民の意思がもっと尊重される新しい地方自治が根付くことを期待したい」
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取材の最後、これからの社会を担う若者たちへのメッセージをいただいた。「『足下に泉あり』。これから社会に出て与えられる仕事はつまらなく、そして辛いかもしれない。しかしどのような状況であっても、その足元を掘っていけば豊かな泉・やりがいに行き着く――そういう気概を持ってほしい。やってくる運命は変えられないかもしれないが、その運命をどう捉え生きていくかは、皆さん自身の問題なのだから」