SNSの今後について語る中村教授
SNSの今後について語る中村教授

スマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、「スマホ元年」と呼ばれる2011年。利用率が急激に増加しているのがmixi、Twitter、FacebookをはじめとするSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。友人と気軽につながることができ、有益な情報を手軽に得られる一方で、SNSをめぐるトラブルも後を絶たない。

今回は「SNSのあり方」、「SNSの今後」について、株式会社ミクシィ社外取締役も務める慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授にお話を伺った。

「SNSは新しいメディア。コミュニケーションスタイルもまだ確立されていない」と中村教授は話す。SNSは10年前にはなかったメディア。新聞、雑誌、テレビ、ラジオといった既成のメディアに比べ成熟度は圧倒的に低い。未成年の飲酒・喫煙などをSNS上で公開し「炎上」するケースもあり、Twitterを「バカ発見機」と揶揄する声もある。

だが、そこにSNSの醍醐味があると中村教授は語る。「炎上も一種の表現方法であり、一つの文化。自分の行為がダイレクトに返ってくるメディアであることを覚悟して情報を発信し、SNSを切り開いていく必要がある」。SNSのあり方はユーザーである私たちがこれから形作っていくものなのだ。

そのうえで、注意すべき点もある。「SNSはこれまでのメディア以上に気付かぬうちに他人を傷つける可能性をはらんでいる。また、自分の発信したことが残るという2点の大きな特徴を持っています」と話す中村教授。さらに、SNS上では誰と友人になるか、どこからの情報を手に入れるかによって世界が変わる。デマなどに惑わされないためにも、信頼できる人とのコミュニケーションが重要になる。

中村教授は、SNSの分岐点が今年3月11日の東日本大震災にあったと振り返る。震災直後、携帯電話の回線はパンクしていた一方で、SNSでは安定して安否確認などができた。それらがテレビなどで紹介されることで、SNSは飛躍的に社会的認知度をあげた。「東日本大震災は、これまで一部でしか普及していない文化であったSNSが、インフラになった瞬間」と指摘する。

3・11以降、一部のSNSは放射線量マップや電力消費量を表示するサービスを始めるなど、着実に社会に必要な情報源へと成長しつつある。そこで、問題となるのが世代間による情報格差だ。ネットを使いこなすことのできないお年寄りも依然として多く、SNSへの抵抗感は根強い。「SNSの実態が知られていないことにそもそもの原因がある」と中村教授は分析している。漠然とした苦手意識から敬遠してしまう人も多いSNS。高齢者への情報リテラシー教育や若い世代からのムーブメントが必要だという。

さらに、ネットワーク環境の整備も課題となっている。利用者が増加していけば、震災時のように回線がパンクしてしまうことも懸念される。「今後は、人々の教育や環境の整備とともに、SNSのコンテンツも進化し、SNSは普及していくだろう」と中村教授は語ってくれた。

(堀内将大)