先月13日法学研究所主催で、池田真朗法学部教授による「債権法改正の問題点――中間論点整理の評価と今後の展望」についての講演会が行われた。会場には外部の弁護士、実務家等、180名を超える参加者があり大盛況であった。池田教授は今回の改正作業が学説主導で始まったことを指摘し、「国際基準に合わせることも重要だが、民法は基本法であるから国民のコンセンサスが得られるものにすべき。取引重視に偏らず、市民本位のわかりやすい民法を作るのが重要」とした上で、実務や市民の声の集約が重要として、「2013年とも噂される改正法案提出は時期と規模を再考すべき。今やるべきこととやるべきでないことを見極めることが必要」と述べた。

また同研究所および三田法曹会は28日にも、東京家庭裁判所所長(前東京高等裁判所部総括判事)の西岡清一郎氏による講演会「控訴審から見た民事事件」をおこなった。会場には法律を専門とする学生や、慶應義塾出身の弁護士など多くの人が参加した。

西岡所長は、「6・7割が一回結審である控訴審においては、お互いが納得するという実質的にあるべき形の解決に導くために必要な、当事者・裁判官・弁護士の間の信頼関係が築きづらい」とし、幾つかの事例を挙げながら「理想はバランスのとれた人間味のある解決だが、それは裁判官だけでは達成できない。当事者とも、弁護士ともお互い悩みや苦労を共有し、みんなで信頼を築いていくことが大事」と語る。

講演の後には質疑応答の時間もとられ、参加者と質問や相談が交わされた。