幅広い身体活動研究の重要性を説いた山崎氏
幅広い身体活動研究の重要性を説いた山崎氏
先月13日、三田演説館で「慶應義塾のスポーツ医学―社会を先導する役割―」と題し、山崎元(はじめ)名誉教授による第692回三田演説会が行われた。三田演説会は明治7年に発足し、討論の練磨の場として教育・文化・芸術から政治・経済・科学技術に至るまでさまざまな分野のテーマで毎年行われる慶大の伝統行事である。
山崎名誉教授は 1989年にスポーツ医学研究センターの設立に携わり、以来慶大のスポーツ医学の教育・臨床・研究に尽力してきた。スポーツ医学は、一般的には競技スポーツ選手の治療や故障の予防を取り扱う医学分野である。山崎名誉教授は、スポーツ医学の対象はスポーツ選手のみならず、一般の人々も関わる学問であると話した。そして、スポーツ医学が慢性疾患やメタボリックシンドロームの治療と予防など幅広い分野に及ぶと話した。
講演で山崎名誉教授は、現場から医学の観点と、医学から現場の観点の双方で身体活動を研究することの重要性について話した。例えば運動負荷をかけないと分からない知識や、従来の知識を身体活動に応用できるような知識。これらの知識は双方の観点で研究することで得ることができる。そして身体に運動負荷をかけないと分からない知識が、スポーツを通して医学に応用できると話した。
また戦後飽食の時代に入ったことで、人間の身体は急速に変化してきたと言う。環境の変化に対応し得るような実践的な知識がスポーツ医学に必要であると語った。
演説の終わりには、福澤諭吉の実践していた「居合い」を例に、塾生のスポーツと教育についても語った。その中で、塾生は先輩塾生や先輩塾員の協力のもとにスポーツにいそしみ、文武両道で義塾の発展をはかることが大切であると話した。