最終ラインからチームを統率した三上主将(右)
最終ラインからチームを統率した三上主将(右)
ソッカー部は今季の関東大学サッカーリーグ戦を9勝3分10敗の7位で終えた。昨季の成績は9勝6分7敗の5位。今季と昨季の成績を比較すると順位は2つ劣るが、勝ち点は3しか変わらない。しかし、これらの数値以上にポテンシャルの差があった。
昨季の慶大は上位と下位との勝率に大きな差はなかったが、今季の慶大は上位陣に勝てない。6位以上のチームとの対戦成績は1勝2分9敗と完全に苦杯をなめている。一方、8位以下との対戦成績は8勝1分1敗と勝率は8割だ。つまり、昨季のチームは試合毎にムラがあり、もっと高い順位が狙えたはずだったが、今季はなるべくしてなった順位だったのだ。
開幕戦後に三上主将(政4)は「スピードのある選手を活かして相手DFの裏を突くサッカーが今季のコンセプトだ」と語った。しかし、上位陣にはこの戦いでは歯が立たず、縦に早いサッカーは影を潜めていった。
この状況を打開するために李監督は9節以降の戦い方を一新した。10番の河井(政3)を本来の中盤ではなく、FWに置く新システムを採用した。河井の抜けた中盤を足元の技術に長けている日高(総3)、大塚(総3)や関東大学サッカー連盟特別賞を受賞した藤田(政2)らが構成し、ポゼッションサッカーを目指した。GKからのボールもDFラインから細かくパスを繋ぎ、相手のゴールへと迫っていった。それでも前期と同様に上位陣から勝ち点を奪えない。
この原因は1―5で敗れた第16節の明治大戦に大きなヒントがある。慶大はリーグ戦を制した明大相手に序盤からパスサッカーを貫きボールを支配し、明大にチャンスさえ与えない。しかし、サッカーの目指すべきところであるゴールには近づけない慶大。その後、明大にセットプレーから得点され、流れを奪われ、なすすべなく大敗した。
ボールを支配すれば、リーグ戦を圧倒的な力で優勝した明大相手にもチャンスを与えないことは証明した。しかし、サッカーはいくら内容が悪くてもゴールをより多く奪った方が勝つのだ。慶大はこのサッカーの根本的なものを目指せていない。
ソッカー部は今季限りで2007年から就任していた李監督が退任し、来季から監督に須田芳正氏を迎える。また、今季副将を務めた笠松(総3)が主将となった。来季最高学年となる3年は河井を始めとし、1年の時から主力として活躍してきた選手が多く在籍する。今季のレギュラーの多くは3年であった。来季の4年が慶大の黄金世代となりうるのか。彼らの戦いに注目したい。

(丸山康平)