「癌」という言葉は私達大学生にとって遠い存在だ。しかし今からきちんと癌と向き合い、自分の体を守れるのは勿論私たち自身だけなのである。
今回、元町レディースクリニックの酒井淳院長に「子宮頸癌(けいがん)」をテーマにお話を伺った。
「子宮頸癌とは子宮の入り口にできる癌。20代から30代が発症のピークです。癌の中でもかなり若い世代で発生するものだが、認知度も低く、検診にいたっては日本人女性の10人に1人しか受診していません」と話す。
子宮頸癌の原因はHPVと呼ばれるウイルスだ。これは人間の皮膚や粘膜に存在するとてもありふれたもので、主に性交時に男性から女性へ感染する。全女性の80%が一生に1度はこのHPVに感染するそうだ。普通は免疫の力で排除されるが、このウイルスが人によってたまに体内に残ってしまうことが子宮頸癌発症の原因となる。
「性病とは違い、女性なら誰しもが感染する可能性を持つ。しかし癌発症まで無症状のことが多いので、予防しか手立てがない」と指摘する。
子宮頸癌は予防できる癌だ。年一回の検診とワクチン接種でその後子宮頸癌の発生はほぼ0にできる。「発症時期が早いので、若い時からの予防が大事。12歳以上にワクチン接種を勧めています」と話す。いきなりの検診に抵抗がある場合は、生理不順や体に関する身近な相談から医師と話をするだけでも違う結果になるという。
「大学生の皆さんにとって子宮頸癌はとても身近な癌です。しかし大学生が検診に自発的に来る事はとても稀。明るい未来のための予防が何よりも大切です」と真剣な表情で話す。
現状の問題として、認知の低さを挙げる酒井院長。子宮頸癌に限らずとも病気を遠い未来のものと考えずに、大学生のうちから自分の体に責任を持つことが大切だ。                                 (西村綾華)

予防の重要性を訴える酒井院長
予防の重要性を訴える酒井院長