関東大学サッカーリーグで慶大は10節の中大戦、11節の国士舘大戦を消化した。この2試合、慶大は連敗を喫し、前期日程を8位で終えた。
(井上史隆・丸山康平)

中大戦
後半開始後の失点ひびく

【慶大1―2中大】
 前週の関東代表決定戦で慶大が2―1と下していた中大に、リベンジを果たされる結果となった。
 前半17分の先制の場面は「裏に走る」というコンセプト通りの展開だった。ケガから復帰したFW深澤(理4)が、加美(環4)のピンポイントのロングパスに抜け出してダイレクトボレーを突き刺す。
 しかし、「こぼれ球への反応も、攻守の切りかえも、気持ちも、向こうの方が上だった」と李監督がもらすように、いい動きを見せた中大はPKですぐに同点とする。
 後半の立ち上がりに中大のFW林が逆転ゴールを決めると、中大はセカンドボールを拾い続け、完全にペースをつかむ。再三のピンチをしのぐ慶大だったが、このまま試合終了。
 李監督は「先制点はいい時間帯だったが、後半の立ち上がりに取られたのが痛かった」と振り返った。

国士大戦
終了間際に守備崩れる

【慶大1―2国士大】
 インカレ出場(リーグ戦4位以内)へ大きな望みを残すために負けられない戦い。慶大はは先取点を挙げるも終了間際の2失点で逆転負けを喫した。
 ピッチコンディションが悪く、両校はロングボールを多用した攻撃でゴールまで迫る。序盤は国士大に主導権を握られる。15分、慶大はカウンターからMF加美(環4)が先取点を奪う。流れを掴んだかに見えた慶大だが、23分にその加美が2枚目のイエローカードで退場し、数的不利になってしまう。
 守備のブロックを形成し、国士大の攻撃を凌いでいたDF陣にも徐々に綻びが出始め、後半34分、37分に立て続けに失点する。1人少ない慶大も選手を交代し反撃を試みるも得点を奪えず、前期を黒星で終えた。

―総評―

今季コンセプト 微修正を

関東大学サッカーリーグ戦を12チーム中8位で折り返した慶大。インカレ出場圏内である4位との勝ち点差は5だ。まだリーグ戦が11試合残っていると考えると、あまり悲観する結果ではない。しかし、昨季の成績(前期4位)と比べると物足りないものがある。
 昨季(リーグ戦5位)と今季の結果には順位以外にも大きな違いがある。昨季の慶大の4位以上のチームとの対戦成績は3勝3分2敗で勝率は38%。6位以下との対戦成績は6勝3分5敗で勝率は43%。上位とも下位とも勝率に大きな差はない。昨季の慶大は試合毎にむらがあり、取りこぼしの多いシーズンだったと言える。
 一方、今季の慶大の7位以上のチームとの対戦成績は、1勝6敗で勝率は14%。9位以下との対戦成績は3勝1分で勝率は75%。上位との対戦では分が悪い。なるべくして8位という順位になったといえる。
 昨季の慶大は、中盤の中町(09年度卒、現J2アビスパ福岡所属)を中心としたパスサッカーでインカレ出場まであと一歩のところまで迫った。
 しかし、今季の慶大は戦い方を一新している。スピードのある選手を活かして相手DFの裏を突くサッカーが今季のコンセプトだ、と三上主将(政4)は開幕戦後に語った。開幕戦では4得点を奪い、今季のコンセプトは成功するかにも見えた。しかし、深澤の怪我による離脱もあり、縦に速いサッカーは影を潜めていく。明大戦(第8節)ではいい戦いをするが得点を奪えず完敗。力の差を見せつけられた。
 9節以降は中盤の要である河井をFWに置き、自由にプレーさせる戦い方を採用した。その後の総理大臣杯関東決定戦では、河井の2アシストにより中大を破り、12年ぶりの全国大会出場を決めた。リーグ戦でも敗れはしたものの先取点を奪うなど、この戦い方は徐々にフィットしつつある。
 あとは立ち上がりの悪さと先取点を奪われた後のゲームコントロールの改善が急務だ。今季、先制された試合では一度も勝利を挙げていない。
 このままでは“降格”という2文字も現実味を帯びてくる。開幕前、塾生新聞会のインタビューで「目標は日本一」と断言した三上主将。彼らはやってくれると信じて待ちたい。  (丸山康平)